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2012 年度 実施状況報告書

地域間交流の促進による国土の維持・活性化のための政策シミュレーション

研究課題

研究課題/領域番号 24560644
研究種目

基盤研究(C)

研究機関徳島大学

研究代表者

近藤 光男  徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (10145013)

研究分担者 近藤 明子  四国大学, 経営情報学部, 講師 (60514081)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード地域間交流 / 人口減少・少子高齢化 / 社会経済指標 / 地域間交流モデル
研究概要

平成24年度は、以下に示す2つの課題について実績をあげることができた。
1.地域の社会経済状況と地域間交流の関係の解明
地域間交流は地域間の交通条件と地域の魅力度に大きな影響を受けて生じると考えられるが、まず、徳島県の市町村を対象として、地域の魅力度を表す社会経済状況と地域間交流の関係の解明を行った。地域間交流を促進する意義として、人口減少・少子高齢化が進み活力が低下しがちな市町村における活性化施策として注目されているが、対象地域において、過疎進行地域にもかかわらず、地域間交流が活発な市町村を指摘することができた。また、一方で、地域間交流が地域の社会経済状況に及ぼす効果も併せて分析することができ、地域間交流は人口の社会移動に大きな影響を与えていることがわかった。この結果は、地域間交流メカニズムの解明につながるものであり、次の課題である地域間交流モデルの構築に向けて、重要で、基礎的な知見が得られた。
2.地域間の交通利便性を考慮した観光交流の地域への波及効果の解明
地域間交流の目的として大いに期待されるのは、観光である。この観点から、観光目的の交流に焦点を当て、わが国全体を対象として、地域間の交通利便性を考慮した観光交流のメカニズムの解明、地域間交流モデルの推定、そのモデルを用いた観光交流の地域への波及効果の推定の分析を行った。ここで作成した地域間交流モデルは都道府県間を対象としたモデルであるが、次の課題である市町村間のモデル構築に非常に参考となる知見が得られた。
これらの成果は、研究目的で掲げた、人口減少下における地域維持困難度の診断や地域間交流メカニズムの解明に貢献できており、次年度の研究課題に対応するための基礎的な知見が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、3年間の研究期間の初年度であるが、3年間の目的として掲げた4つの項目である「(1)人口減少下における地域の維持困難度の診断、(2)地域間交流メカニズムの解明とモデルの開発、(3)地域間交流を促進させる交通政策および地域政策の評価、(4)国土の維持・活性化策のための地方部や中山間地域における地域政策の提案」に対し、(1)と(2)に関して、成果をあげることができた。
(1)については、特に、人口減少・少子高齢化が進む市町村を対象として、地域間交流に影響を及ぼす社会経済指標および地域間交流が地域の社会経済状況に及ぼす効果の両面から、地域間交流について基礎的な知見を得ることができた。ただし、市町村の社会経済指標のデータ収集や分析等が負担であったため、対象地域が徳島県域となった。また、地域の維持困難度指標の設定は難しく、地域の活力度指標といったポジティブな指標が望ましいことがわかった。
(2)については、徳島県域の市町村を対象とした地域間交流と社会経済指標との関連分析のみならず、地域間交流の推進役として期待される観光交流に着目し、全国を対象として、地域間交流のメカニズムを解明するとともに、地域間交流モデルを推定した。分析単位を都道府県としたものの、交流メカニズムの解明やモデル推定という点からは十分な知見を得ることができた。
以上のことから、3年間の研究期間における初年度の成果としては、今後につながる多くの知見も得ることができ、おおむね順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

初年度の研究成果として、3年間の研究期間において掲げた4つ研究目的のうち、前半に掲げた2つの目的に関して、意義のある知見が得られた。これらの成果は、当初の3つ目の目的である「地域間交流を促進させる交通政策および地域政策の評価」につながるものであり、当初に予定したとおりの研究計画を遂行する。
まずは、平成24年度の成果を土台にして、市町村間の地域間交流モデルを推定することである。モデル推定には、市町村間の時間距離のデータが必要になるが、現在、データを作成中であり、これが完成すると、モデル推定のためのデータがほぼ準備できたことになる。一方、モデルの考え方やモデル構造等については、今年度推定したわが国全体を対象とした観光目的の地域間交流モデルを参考とすることができ、こちらの準備も整っている。あとは、地域特性を考慮し、効果的な交通政策や地域政策を提案することであり、これも初年度の地域経済状況の把握といった基礎的な知見を大いに活かすことができる。これらの分析作業を経て、地域間交流を促進させる交通政策および地域政策を実施したときの地域へのインパクトを予測するとともに、それら政策の評価を行う。
以上のように、次のステップとして、平成25年度は、「地域間交流を促進させる交通政策および地域政策の評価」を課題として研究を展開する。

次年度の研究費の使用計画

研究費の使用についても、当初の予算に対して費目間の移動はあったが、平成24年度は問題なく、かつ研究推進に効果的に使用することができた。平成25年度も、研究計画に対し、与えられた予算を有効に使用し、研究成果をあげていきたい。
今年度同様、大きな設備は必要としておらず、パソコン等の少額の物品費、消耗品(パソコン関係、文房具等)の他、研究資料収集および研究成果発表のための旅費が必要である。また、大量のデータを扱い、各種の統計分析を行うことから、大学院学生の研究協力謝金を予定している。
以上のような使途で、研究代表者と研究分担者1名で研究を遂行する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] RIPPLE EFFECTS OF INTERACTION FOR THE PURPOSE OF SIGHTSEEING IN CONSIDERATION OF TRAFFIC CONVENIENCE2012

    • 著者名/発表者名
      Akiko Kondo
    • 雑誌名

      TRANSPORTATION AND LOGISTICS MANAGEMENT

      巻: 1 ページ: 21-28

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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