住宅と商業用とを対象にいくつかのシナリオのもと土地利用規制を実施したときの効果をリスクカーブから算出されるVaR指標で評価した.遊水地を建設せずに浸水域全体に土地利用規制を行った場合より,規制をかけず遊水地整備を行った方が被害額の減少が大きいことが分かった.しかし,危険度の最も高いゾーン4に着目した場合,98%水準までは遊水地整備による効果が大きいが,それ以上では土地利用規制による効果が遊水地整備による効果を上回ることが分かった.これらの結果から,水害被害を抑えるためには遊水地等のハード整備は不可欠であり,さらに危険度が高い地域では,土地利用の規制の実施の必要性が確認された.
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