研究課題/領域番号 |
24560646
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
田中 尚人 熊本大学, 政策創造研究教育センター, 准教授 (60311742)
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キーワード | 川まちづくり / 土木遺産 / 土木史 / 景観論 / 水辺 / コミュニティ / 文化的景観 / フランス |
研究概要 |
本研究は,地域の歴史と文化を活かした川まちづくりを実践するための,地域マネジメント手法を開発することを目的としている.本年度は,都市内の水辺における地域社会の協働プロセスの調査・分析,2)水辺の土木遺産及び文化的景観の保全・活用手法の調査・分析に関して,広島雁木研究会の活動(6回の研究会と1回のイベント)を通じて,以下の調査を行った. ①水の都推進協議会を中心とした,近年の川まちづくり活動の履歴を整理した.雁木タクシーを運営する「NPO法人雁木組」,基町環境護岸を中心とした水辺空間の参加型維持管理活用を実践しておられる「ポップラペアレンツクラブ」,様々な公共空間の利活用を実践しておられる「カフェテラス倶楽部」など市民活動の目的,内容,運営手法などを把握した.近年,新しい世代の活動が活発化していることが分かった. ②河岸緑地を中心に,水辺の歴史的環境を把握した.具体的には,1967(昭和42)年広島市の主導により計画された「河岸緑地整備四カ年計画」や,1976(昭和51)年に着手された東京工業大学中村良夫研究室(当時)による太田川基町環境護岸の景観デザインなどによる河岸緑地形成,遊歩道,樹木,ベンチ,サイン等などの利用環境と,そのルールの変遷を調査した.1980(昭和55)年の高潮災害対策による新規の河岸緑地整備による変化など,広島の川まちづくりに影響を与えた歴史的事象などが明らかとなった. 広島市以外の国内の事例として,島根県松江市,福岡県柳川市,四国の四万十川流域を調査対象とする予定であり,四万十川流域,柳川市には調査に赴き基礎資料は収集済みである.さらに,国外の事例として優れた地域マネジメント手法を有する,フランスのパリ(Paris),ボルドー(Bordeaux)を訪れた.景観・環境保全と連携した参加型の地域マネジメントが,川まちづくりと連携している印象を受けた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内の研究対象地として予定している広島市,四国の四万十川流域ではほぼ調査は終了し,柳川の基礎調査も終了しており,水辺の土木遺産群の基礎的な価値の理解が成され,その保存・活用に向けたマネジメントの規範と文化的景観保全のためのローカルルールが獲得できたので.
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今後の研究の推進方策 |
国内の研究対象地の残り一つ,松江市の調査を行うとともに,広島市,柳川市,四万十川宙域の事例をまとめ,世界一の観光立国フランスの水辺及び,河川によって繋がっているドイツやヨーロッパ諸国の主要な水辺を対象に事例調査,分析を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
年度末に開催した,イベントにおいて講師謝金,会場費などで見積額より少ない支出となったことによる. その他への繰越金としたい.
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