研究課題/領域番号 |
24560650
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
松本 幸正 名城大学, 理工学部, 教授 (30239123)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ITS / 信号 / 情報提供 / 走行挙動 / 環境負荷 / 二酸化炭素 / シミュレータ |
研究概要 |
自動車交通量の増加による環境負荷が問題となっている.特に,信号交差点の信号待ちから発生する車両のアイドリングや急加減速等が環境負荷増大の一因となっていると考えられる.このような環境負荷が大きな車両挙動を減らすために,ITS技術を用いた情報提供に期待が寄せられている.そこで本研究では,信号交差点に接近する走行車両に,信号切り替わり情報や推奨速度情報などの信号情報を適切に提供するシステムの開発を目指している. はじめに,見通しが良い平坦な信号交差点流入部を対象に,車両の走行挙動をデジタルビデオカメラで観測した.対象地点としては,歩行者用信号機が有る交差点と無い交差点を,交通環境が似た路線からそれぞれ1箇所ずつ選定した.同時に,GPSを搭載した車両を用いて,観測対象交差点を被験者に複数回走行してもらった.これらの車両挙動の観測によって得られたデータを,前方の信号表示の違いと走行速度の関係から分析した.その結果,事前に赤信号へ変化するという情報を交差点から近い距離にいるドライバーへ提供した場合は加速挙動へとつながり,危険が生じる可能性があることがわかった.対して,200m以遠に存在している車両は減速挙動を行う傾向が見られたため,アイドリング時間の減少や緩やかな車両挙動へつながる可能性があることがわかった. 同時に,ドライビングシミュレータを用いて,ビデオ観測した対象交差点のモデルを作成した.道路の幅員や勾配,沿道状況や周辺環境をモデルで再現した.その後,このドライビングシミュレータを用いて信号情報の提供システムのプロトタイプを作成し,簡単な走行実験を行った.その結果,信号情報や推奨速度の提供によってドライバーの運転挙動に変化が見られることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,信号交差点に接近する走行車両に,信号切り替わり情報や推奨速度情報などの信号情報を適切に提供するシステムの開発を目的としている. この研究目的達成のため,平成24年度では,実際の信号交差点における車両の走行挙動の観測と分析,同時に,ドライビングシミュレータを用いた情報提供システムのプロトタイプの開発を目標とした.これらをともに研究計画通りに実施し,また,有意な研究成果も得られたため,”(2)おおむね順調に進展している”と自己評価した.
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き,研究計画に示した内容を着実に実施する. 具体的には,前年度に開発したドライビングシミュレータを用いた情報提供システムのプロトタイプを活用して,本研究で提案する「信号切り替わり情報」や「推奨速度情報」を,どのようなタイミングでどのようなカタチや色で表示すればよいかを室内シミュレーション実験により明らかにする.これにより作成された情報提供システムを稼働した場合のドライバーの走行挙動を室内シミュレーション実験により観測する.観測は,走行速度,加減速度,アクセル開度,ブレーキ状態などを対象とする.このドライビングシミュレータを用いた観測実験によって,多様な属性によるドライバーに対する情報提供への反応の違いを計測し,その影響を把握する. 信号交差点に流入する単路部のみではなく,道路ネットワーク全体としての効果の計測も目指す.このため,ミクロ交通流シミュレーションによって,個々の車両の挙動を詳細に再現する.車両の走行挙動は,前年度の実際の道路における観測データや,室内シミュレーション実験によって得られた観測データに基づいて構築し,特に,信号交差点流入部における走行挙動を高い精度で表現する.このため,個々の車両が,信号交差点までの距離やその時の走行速度,信号情報の提供方法などの違いによって,観測された走行挙動を再現しているかを確認する.必要に応じて,再度,実際の道路における車両の走行挙動の観測を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は788円である.これは,物品等を購入する際の端数によって発生した額であるが,翌年度の研究費に合わせて物品の購入費等として使用する予定である.翌年度分の研究経費は,物品購入費,旅費,人件費・謝金,その他の経費として使用する.
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