研究課題/領域番号 |
24560650
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
松本 幸正 名城大学, 理工学部, 教授 (30239123)
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キーワード | ITS / 二酸化炭素 / 交通流 / 情報提供 / 情報提供 / 信号情報 / シミュレータ / 運転挙動 |
研究概要 |
昨年度までに,実際の信号交差点に流入する個々の車両の観測結果から,事前に赤信号へ変化するという情報を交差点から近い距離にいるドライバーへ提供した場合は加速挙動へとつながり,危険が生じる可能性があることがわかった.対して,200m以遠に存在している車両は減速挙動を行う傾向が見られたため,アイドリング時間の減少や緩やかな車両挙動へつながる可能性があることがわかった. これらの結果に基づいて,信号交差点が連続する道路区間約3.5kmを3Dドライビングシミュレータ上に作成し,信号情報・推奨速度情報が運転挙動へどのような影響を与えるかを捉え,また,CO2削減効果や旅行時間への影響がどの程度あるのかを分析するため,ドライビングシミュレータによる走行実験を実施した.被験者は20歳代から60歳代の32名である.その結果,信号情報や推奨速度の提供によってドライバーの運転挙動に変化が見られ,CO2排出量の削減効果は最大で6%となることがわかった.また,意識面からの評価でも,このような情報提供システムを利用したいと答えた被験者が多いこともわかった. 信号情報・推奨速度情報提供のドライバーへの影響を見るとともに,交通流としての評価も同時に行った.ミクロ交通流シミュレーションを用いて,2信号交差点を含んだ道路ネットワークを作成し,個々の車両走行状況に応じて推奨速度を提供するシステムを構築し,推奨速度を提供した場合としていない場合とでシミュレーションを実行し,CO2排出量の比較も行った.その結果,車両状況に応じた推奨速度を提供する事で,ネットワーク全体における一台当たりの平均停止時間が6秒減少し,CO2の総排出量は12%削減できることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は,昨年度までに観測した信号交差点に進入する実際の車両挙動に基づいて,①3Dドライビングシミュレータ上で情報提供システムを構築し,ドライバーへの情報提供時の影響を捉え,また,②ミクロ交通流シミュレーション上でも情報提供システムを構築し,情報提供のネットワーク交通流による評価を行う,ことを計画していた.これらの研究はほぼ計画通りに進み,また,有意な研究成果も得られている.そこで,”(2)おおむね順調に進展している”と自己評価した.
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き,研究計画に示した内容を着実に実施する.具体的には,前年度に開発した3Dドライビングシミュレータならびにミクロ交通流シミュレーションを用いた情報提供システムを活用して,本研究で提案する「信号切り替わり情報」,「推奨速度情報」,「アクセルオフ情報」などの情報提供が,交通量や道路ネットワークの形状などによってどのように異なってくるのかを明らかにする.特にこれまでに明らかになった安全面での評価も確実に行う.同時に,交通流への影響として旅行時間の計測や,情報を受けた車両の追従車両への影響なども捉える. 情報提供の効果を高めるために,信号制御との連携も探る.たとえば,スルーバンド最大化などの路線ごとの系統信号制御モデルの適用を前提に,「信号切り替わり情報」,「推奨速度情報」,「アクセルオフ情報」を提供することを考える.これらの情報提供と信号制御の連携を路線単位でモデル化した後,複数の主要幹線への適用拡大を目指し,最終的には,対象エリア全体での最適化が可能なシステムを開発する.特に,個々のドライバーの情報提供への反応が異なる点を考慮するため,マルチエージェントシステムの適用を目指す.このマルチエージョントによるシミュレーションを用いて,特性の異なるドライバーが走行する対象エリア全体での遅れ時間,総走行時間,CO2排出量を定量的に把握し,情報提供の効果を総合的に評価する.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は88,902円である.これは,謝金が当初の予定よりも少なく済んだ結果による. 次年度使用額88,902円は,次年度の研究費に合わせて使用する.次年度の研究経費として,物品購入費,旅費,人件費・謝金,その他の経費に割り当てて使用する.
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