研究課題/領域番号 |
24560651
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
波床 正敏 大阪産業大学, 工学部, 教授 (60278570)
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研究分担者 |
PERRY 史子 大阪産業大学, デザイン工学部, 教授 (10238719)
塚本 直幸 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (20247878)
伊藤 雅 広島工業大学, 工学部, 准教授 (70273464)
吉川 耕司 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (80220599)
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キーワード | トランジットモール / 歩行者行動 / LRT / 現地調査 / シミュレーション |
研究概要 |
平成25年度は,海外のトランジットモールにおける歩行者の横断状況の現地調査を追加実施し,街路幅員等の測定, LRTの通過状況等の調査,ビデオ調査などをおこなった.平成24年度調査結果とあわせてデータを数値化し,横断行動だけでなく,歩行場所(歩道,軌道)の分析をおこなった. 平成25年度は,平成24年度の分析結果(歩行者の軌道横断のタイミング)について審査付き論文1編(波床正敏・ペリー史子・塚本直幸・吉川耕司・伊藤雅:「トランジットモールにおける歩行者のLRT軌道横断に関する分析」,都市計画論文集No.48-3, pp.411-416)としてまとめた.これとは別に歩行場所(歩道,軌道)の分析をおこない,その結果,1)軌道上を歩行する人の割合は歩道が広いほど少ない,2)軌道上を歩行する人の割合はLRT等の運行本数が多いほど少ない,3)軌道上を歩行する人の割合は軌道部分の幅員とはあまり関係ない,4)歩行者は基本的には軌道上を歩かない,などがわかり,研究発表(波床正敏・ペリー史子・塚本直幸・吉川耕司・伊藤雅:「トランジットモールの断面構造と歩行者の通行状況に関する分析」,土木計画学研究講演集47, CD-ROM)を行った.これについては,審査付き論文として投稿し,審査中である. また,分析を通じて,以下のような新たな調査すべき課題が見えてきた.a)歩行者が軌道を歩行する理由としては歩道が混んでいるからと言うことも考えられるが欧州のトランジットモールにはさほど混雑した街路はない, b)歩行者の軌道横断のタイミングは視覚情報以外も影響している可能性(例えば音)がある. 平成26年度の研究では,若干の追加的調査を行うとともに,これまでの調査結果をまとめ,トランジットモール上の歩行者の主要な行動をシミュレーション分析するなどしたい.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現地調査については,概ね順調に実施し,調査を行うことによって初めて明らかにすることができた事柄もあり,大変有意義であった.また,調査結果を分析することで歩行者の行動についても数値面から分析をすることができた. 一方,シミュレーションについては,当初導入予定のソフトウェア(uc-win/road, advance, academic)よりも別のソフトウェア(Vissim & Viswalk)の方が適切であることがわかり,ソフトウェアの選定作業に手間取ったことなどから,実際のソフトウェア導入が平成25年度後半であったため,現時点でソフトウェアの操作習熟が完了しておらず,やや遅れ気味である.
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今後の研究の推進方策 |
歩行者の行動分析そのものは,若干の追加調査(視覚情報以外の行動要因,街路諸元の再測定,LRT運行速度などの追加調査)を必要とするものの,概ね完了しつつある.今年度は,これらを反映させた歩行者行動分析を深化させるとともに,研究論文としてまとめたい. シミュレーションについては,ソフトの操作習熟を早期完了させるとともに,行動分析結果を反映させたシミュレーションを実施し,日本でトランジットモールを実施した場合に関する考察などを行い,本研究を完結させたい.
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次年度の研究費の使用計画 |
調査旅費(海外)が当初延べ2名の派遣を考えていたが,実際には1名であり,その差の1名分が平成26年度の追加調査に代わったこと,分析のためのデータ入力人件費が予想よりも少なかったことなどが主な理由である. 理由欄にも書いたように,H25年度の調査旅行延べ2名の派遣を予定していたが,実際には1名となっており,その分の追加調査がH26年度に発生するため,主としてその旅費として使用予定である.
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