中部太平洋環礁国における実利用を想定して,海水を利用した排水処理手法を検討した.都市下水に海水を添加して嫌気回分式運転を行ったところ,82.4~91.1%の有機物除去率が得られた.16S DNAを解析したところ,海水存在下ではδ-Proteobacteriaに属する硫酸塩還元細菌やα-Proteobacteriaに属する発酵性細菌が有機物除去に関係することが明らかとなった.また,本手法により現地底質の汚染が問題となっているPb,Zn,Cuは主に金属硫化物として,68%以上除去できることがわかった.さらに,海水添加により内部抵抗が低くなることから,微生物燃料電池の適用が可能になることも示された.
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