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2012 年度 実施状況報告書

薬液注入による地盤内汚染物質の封じ込め効果と長期安定性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24560668
研究種目

基盤研究(C)

研究機関千葉工業大学

研究代表者

小宮 一仁  千葉工業大学, 工学部, 教授 (30234884)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード地中汚染物質 / 大深度 / 移流分散解析 / 封じ込め / 薬液注入
研究概要

千葉工業大学校舎内の大深度地下間隙水圧の測定を、地表面下80m、402m及び403mで10分毎に観測した。年間を通じた各深度の間隙水圧の挙動は、過去数年とほぼ同じであった。
大深度地下間隙水圧の季節変動に着目し、堆積地盤の広域・大深度の透水係数の推定を試みた。透水係数は地中汚染物質の広域・大深度移流分散を予測する解析に必要不可欠な最も基本的な物理量であるが、これを定量的に求めた従来の研究成果はない。本課題研究では、大深度地下における間隙水圧の季節変動と、これに影響を及ぼす揚水との関係に着目し、タイスの非定常浸透理論を用いて透水係数を推定した。具体的には、従来の研究によって因果関係を明らかにした、地表面下80mの間隙水圧挙動と船橋の揚水データから清川地層の透水係数を、また地表面下402mの間隙水圧挙動と柏市の揚水データから下総地層の透水係数を推定した。
海外研究協力者の協力を得て、複雑な地層を統計的に単純な地層にモデル化するための研究成果に関するデータを収集した。広域・大深度における地中汚染物質の移流分散解析を行う場合、地層の構成が解の精度に大きく影響するが、広域・大深度の地層構造を詳細に知ることは、経済的に不可能であるため、複雑な地層を、数値解析的合理性を維持しながら単純化する必要がある。収集したデータは、このモデル化のための基礎データとなるものである。
薬液注入による地中汚染物質の封じ込めに関する基礎データを蓄積するため、注入薬液の物理化学的性質に関する基礎実験を実施した。実験を行ったサンプル数は、数百に及ぶが、封じ込めの効果を確実にするためには、さらに多くの実験を実施し基礎データを蓄積する必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

地中汚染物質の広域・大深度・長期間にわたる移流分散挙動を予測するための数値解析には多くのパラメータが必要であるが、これらを定量的に明らかにした成果はまだない。初年度の研究において、実際の大深度地下間隙水圧の季節変動の観測結果と、これに影響を及ぼすことが明らかになっている揚水量のデータから、定量的に広域・大深度におよぶ地盤の透水係数の予測法の確立ができたことは、むしろ研究計画に先んじる成果である。
複雑な地層構造を解析可能なように合理的に単純化する手法についても、既往の研究が極めて少ないが、海外研究協力者により、この基礎研究に関するデータ(実験データも含む)が得られたことは、研究を計画通り進めるための大きな成果である。
地中汚染物質を封じ込めるために有効な物理化学的性質を持つ薬液材料を決定するための基礎試験の方法が確立できたため、これにより大量の試験が実施可能となった。また、現在はまだ用いられていない新しい薬液材料の物理化学的性質を調べる実験にも着手できた。
以上より、研究は概ね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

大深度地下間隙水圧挙動の観測を引き続き行う。
地下汚染物質の広域・大深度・長期間にわたる移流分散数値解析に必要な、広域・大深度地層の透水係数以外のパラメータの推定を行う。大深度地下間隙水圧の季節変動データと揚水量の変動データを用いて、予測が非常に難しい遅延係数等、時間依存性のパラメータの推定を行う。また、パラメータ推定を、清川層、下総層以外の地層においても行う。
海外研究協力者が、海外における地下汚染物質の移流拡散に関する研究成果を収集する。また、前年度に得たデータに基づき、広域・大深度における堆積地盤の地層構造の単純化に着手する。これが計画通り行えれば、移流分散数値解析のためのモデル作成を行う。
地中汚染物質の封じ込めに有効な薬液材料選定のための基礎実験を継続して行う。また、薬液固結後の長期安定性に関する基礎試験を実施する。
3次元移流分散数値解析のプログラムの修正を行う。広域・大深度・長期間の挙動を解析するために、解析速度の高速化等を行う必要がある。

次年度の研究費の使用計画

大深度地下間隙水圧挙動の観測のためにアルバイト(人件費)を用いる。
薬液注入材料の基礎実験のために、消耗品費を用いる。また実験補助のためにアルバイトを用いる。
移流分散数値解析の補助のためにアルバイトを用いる。
海外研究協力者との研究打合せ、また研究成果の発表等のために旅費を用いる。
解析パラメータの推定、実験・解析結果の整理等のために、用紙、プリンタインク等の消耗品費を用いる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Finite Element Analysis of Ground Behaviour due to Box-jacking Tunnel Work2013

    • 著者名/発表者名
      K.Komiya, T.Nakayama
    • 雑誌名

      Geotechnical Engineering Journal of the SEAGS & AGSSEA

      巻: 44-1 ページ: CD-ROM

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Model Tests and FE-Modelling of Dynamic Soil-Structure interaction2012

    • 著者名/発表者名
      K.Komiya, N.Kodama
    • 雑誌名

      Shock and Vibration

      巻: 19 ページ: 1061-1069

    • DOI

      10.3233/SAV-2010-0618

    • 査読あり

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公開日: 2014-07-24  

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