研究課題/領域番号 |
24560668
|
研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
小宮 一仁 千葉工業大学, 工学部, 教授 (30234884)
|
キーワード | 薬液注入 / 汚染物質 / 封じ込め / 大深度地下 / 移流分散解析 / 国際情報交換 |
研究概要 |
(1)大深度地下間隙水圧の常時観測:昨年度に引き続き、千葉工業大学校地内において地下403m、402m、80mの地点の間隙水圧挙動を10分おきに観測した。間隙水圧は、定性的には過去20年間と同様に夏期に減少し冬期に上昇した。この観測結果と、間隙水圧に影響を及ぼす周辺地域の揚水状況から大深度・広域における地盤の透水係数等移流分散解析に必要なパラメータが推定できるので重要である。このような大深度地下の長期にわたる観測は世界的にもここでした行われておらず、意義がある。 (2)既存の透水係数決定法の大深度地下への適用の検討:間隙水圧計埋設時に採取した、複数深度の土試料を用い、既存の透水係数決定法による透水係数の推定を行った。既存の透水係数決定法は浅深度地盤を対象に構築されたものであるが、これが大深度地下地盤に適用できれば、土試料のサンプリングを行うだけで、様々な地点の大深度地下地盤の透水係数を簡便に推定可能になる重要である。既存の透水決定法で求めた透水係数と(1)で求めた透水係数の比較を行い、既存の方法の適用性を検討した。 (3)薬液注入により固結した地盤の透水係数と長期安定性の確認:汚染物質の封じ込めを行うために、薬液を用いて地中にバリアを設置した際のバリアの性能を評価するために、薬液注入により固結した地盤の透水係数と長期安定性を室内実験により評価した。また同様の研究成果について海外研究協力者が調査を行った。 (4)移流分散解析プログラムの修正:汚染物質の地下封じ込め効果を予測するための移流分散解析プログラムの修正を行った。 (5)地中バリア構築のための工法の評価:汚染物質封じ込めを行うための地中バリアの構築について、薬液注入工以外の工法の検討を行い、既存の分割構築型トンネル工法の適用性について検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
広域・大深度地下の汚染物質拡散と封じ込めの評価をするための各種パラメータの推定法の確立や解析については、概ね当初計画どおり進展している。 さらに、薬液注入により固結した地盤の汚染物質封じ込め効果を室内実験によって評価し、また薬液注入以外の工法による汚染物質の封じ込めの検討を行う等は、当初計画以上に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度である今年度は、移流分散解析により、広域・大深度地下の汚染物質拡散状況の予測と封じ込め効果の評価を行う。 大深度地下間隙水圧挙動の観測を引き続き実施する。 また、大深度間隙水圧観測地点(GL-80m)と同震度より揚水を行う井戸が、千葉工業大学新習志野校舎(観測地点より直線距離で約3kmの地点)に作られたため、この揚水状況と間隙水圧挙動の比較から、高精度な透水係数等の評価を行い解析精度の飛躍的な向上をはかる。 薬液注入以外の経済的で確実性の高い汚染物質封じ込め工法についてさらに検討する。 研究で得られた成果を、学会論文集等に公表する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
今年度、より高精度の透水係数測定の目処が新たに立ったため、従来の周辺地域自治体からの揚水情報を分析することによる作業を一時中断したため当初予定よりも分析補助のためのアルバイト代が少なくなった等の理由により前年度未使用額が生じた。今年度は、この作業を再開すると共に、当初の研究計画を踏まえ下記使用計画に基づき研究費を使用する。 大深度間隙水圧挙動の観測及び結果整理の補助のためのアルバイト代を使用する。移流分散解析プログラムの修正及び解析実行の補助のためのアルバイト代を使用する。海外研究協力者との打合せのための旅費を使用する。国内での学会発表のための参加費及び旅費を使用する。学術雑誌への論文投稿のための消耗品費及び投稿料を使用する。薬液注入改良地盤の長期安定性の評価のための室内実験のための消耗品費及び実験補助のためのアルバイト代を使用する。揚水データの分析の補助のためにアルバイト代を使用する。
|