研究課題/領域番号 |
24560674
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
千歩 修 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10236127)
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研究分担者 |
長谷川 拓哉 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30360465)
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キーワード | 凍害 / 限界飽水度法 / 片面吸水凍結融解試験 / 窯業系サイディング材 / 焼成れんが |
研究概要 |
1)実建物に使用されたサイディング材の調査:札幌市の築29年の店舗併用住宅の外装材張替時にサイディング材の劣化状況、含水状態等の調査を行った。この結果、サイディング材母材の劣化には方位・部位による違いがあり、激しく劣化しているものは手で簡単に崩せるほどの劣化状態であった。また、母材が劣化しているものは、裏面が濡れ色を示しており、静電容量式水分計でも含水率が高くなっていることが確認できた。 2)試験条件を変えた片面吸水凍結融解試験:容器断熱や上部被覆によって試験条件を変えた片面吸水凍結融解試験を行い、凍結速度、試験体上下面温度差などを変えることができた。しかしながら、試験体の品質のばらつきが大きく、試験条件の影響については明確にできなかった。なお、凍結融解時の含水率上昇効果および仕上材の吸水抑制効果を確認でき、凍結融解によって真空吸水試験後に近い値まで含水率が上昇することが判明した。また、今回の試験では、目視による劣化の確認はできなかったが、試験後に体積膨張(組織のゆるみ・劣化)が生じているものがあり、サイディング材種別による耐凍害性の違い、表面仕上材による劣化の抑制に関するデータを得ることができた。 3)各種の耐凍害性評価手法による評価結果の比較:建築材料の一つとして、煉瓦の実験データを取りまとめ、耐凍害性評価手法によって結果が大きく異なること、試験方法によっては実環境と異なる劣化メカニズムが作用していると考えられることなどを示した。 4)屋外暴露試験体の作製準備:建物外壁をモデル化した屋外暴露試験体の設計を行い、外壁に取り付ける各種サイディング材を取り寄せた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・モデル建物の作製と屋外暴露試験を実施できなかった:これには、共同研究者の長谷川拓哉准教授の緊急入院・手術等によって体調が完全には回復していないこと、木材の加工等を行える技術者の不足がその理由である。
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今後の研究の推進方策 |
1)部位条件および材料の性状変化を把握するための屋外暴露試験体の作製・測定:昨年度に実施できなかったモデル建物を作製し、屋外暴露・測定を行う。 2)これまでの検討結果および平成26年度の実験から窯業系サイディング材の耐凍害性評価試験法を提案する。 3)限界飽水度法を用いた凍害劣化予測手法について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していた屋外暴露試験体の作製が行えなかったため。 平成26年度の早期に屋外暴露試験体を作製する予定である。
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