本研究では、被害が東海から近畿、四国、九州に広がるとも予測されている国難とも言うべき南海トラフで発生する巨大地震から、人の命を守り被害を最小限に留めるため、特に役所・学校や病院、エネルギー施設など、災害時に非常に重要となる諸施設の耐震性能について、大都市の人口が集中する軟弱地盤の挙動や建物を支える基礎と地盤との動的な相互作用効果を考慮した精度の高い地震応答解析の構築を通して明らかにすること等を目的としている。 H26年度は、地盤モデルの高度化に向け他のプロジェクトも含めこれまでに収集してきたボーリングデータの可視化を行うとともに、液状化を考慮した地盤増幅特性評価について、非線形地震応答解析により検討した。また、応答予測に不可欠な南海トラフの地震を想定した強震動予測手法に関連した課題が浮き彫りになったことから、この課題に対する基礎的な分析を行った。さらに、非線形動的相互作用効果の観点から、地下室等の根入れを有する建物への回転入力を考慮した地震時建物非線形挙動に関する検討を実施した。 当初計画していた応答予測手法と既往の地震観測システムを統合した、新たなリアルタイム被害予測システムのプロトタイプ構築については、今後継続して実施していく。
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