研究課題/領域番号 |
24560684
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
釜江 克宏 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (50161196)
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研究分担者 |
上林 宏敏 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (30300312)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 固体地球物理学 / 自然現象観測・予測 / 耐震 / 地震アレイ観測 / 空間変動 |
研究概要 |
地盤系における強震アレイ観測と同敷地内の建物・基礎系における強震観測が実施されているサイトを調査した.その結果,柏崎刈羽原子力発電所,浜岡原子力発電所,福島第一原子力発電所,福島第二原子力発電所,女川原子力発電所,東海第二発電所の地震観測記録を入手した.これらの内,当該年度は浜岡原子力発電所の2009年駿河湾の地震記録を対象に,地震動空間変動特性と原子炉建屋基礎応答の評価を行った. 深度40mと100mの2つのレベルにおける,それぞれ22と28の観測点ペア数に対して位相特性(コヒーレンス)と振幅特性(フーリエ振幅比)の空間変動を分析した.その結果,コヒーレンスは観測点間距離の増加および周波数の増加と共に低下する傾向が明瞭に見られた.フーリエ振幅比は2Hz 以上において0.1~0.4 の範囲のばらつきが見られ,観測点間距離の増加と共に,ばらつきも大きくなる傾向が見られた.しかしながら,コヒーレンスに比べて,ばらつきの周波数依存性は少なかった.一方,基礎並進応答の入力低減は2Hz以上において見られた.ねじれ・ロッキング応答は2Hz 以上において増加する傾向が見られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
浜岡原子力発電所の強震観測点は地盤及び建屋含めて数百点存在する.各号機ごとに収録装置が独立していると考えられ,トリガー時刻の違いによる時刻補正を実施する必要が生じた.さらに設置時期の違いによりデータのファイル名等の名付け方に違いが見られた.また建屋観測地震計のリプレースに伴い観測成分数の変更も見られた.ルーチンワークとして記録の分析が行えるように,上記のファイル(各チャンネル)間の違いを統一化したデータベースの作成に多大な時間を要した. また,埋設地震計の設置方位誤差が多くの地点で見られたため,修正方位の同定を実施することになった.方位修正後のデータを用いて上記の分析を行った.
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今後の研究の推進方策 |
2009年駿河湾の地震以外の地震記録についても,同様の処理・分析を実施し,最大加速度レベルや震源位置による地震動空間変動特性を把握する.さらに,地震動空間変動と基礎応答との関係を定量的に評価する予定である. 浜岡原子力発電所サイト以外についても,同様の処理・分析を実施し,観測サイト(地下構造)の違いによる地震動空間変動特性及びそれによる基礎応答の違いについても検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果を学会等で発表するための出張旅費や投稿料の予算を計上する. 観測記録から求めた地震動空間変動と基礎応答の関係を数値実験に基づいて検証するには3次元有限要素法等による不均質地下構造と建物基礎を一体化させた波動伝播シミュレーションが必要となる.そこで,本経費で購入した計算機のメモリー及びハードディスク等の増強を行うための予算を計上する.さらに,分析結果を画像化するためのソフトウェア購入のための予算を計上する.原子力発電所サイトのような硬質な地盤のみならず,沖積地盤における地震動空間変動の把握は,一般建築物にとっても重要であるため,大阪平野における比較的狭い領域を対象としたアレイ地震観測を実施するための観測機器の整備を行う.そのための予算を計上する.
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