研究課題/領域番号 |
24560690
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
菊池 健児 大分大学, 工学部, 教授 (50117397)
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研究分担者 |
黒木 正幸 大分大学, 工学部, 助教 (10295165)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 補強コンクリートブロック造 / メーソンリー / 耐震診断 / 耐震改修 / 構造実態調査 / 耐力壁 / ポリマーセメントモルタル / 耐震補強 |
研究概要 |
第2次世界大戦終戦後に開発された,補強コンクリートブロック造(以下,補強ブロック造)は1960~70年代を中心として数多く建設されているが,これらメーソンリー建物に対する耐震診断基準は作成されておらず,耐震改修に関する技術開発も遅れている。本研究では部分充填型である補強ブロック造を対象とし,その耐震性能の評価と耐震診断や耐震改修に関する技術を開発することを目的としている。以下に,平成24年度に実施した研究の概要と成果を示す。 1.既存補強ブロック造建物の構造実態や劣化状況に関する基礎資料を収集するため,大分県内にある公営住宅3棟の現地調査を行った。また,使用されているコンクリートブロックの強度測定方法として,現地で行えるシュミットハンマーを用いた試験と切り出した角柱試験体に対する圧縮試験の結果を比較し,シュミットハンマー試験の有用性を検討した。 2.既存補強ブロック造耐力壁試験体を1964年版の日本建築学会「補強コンクリートブロック造設計規準」を参照して4体設計製作した。うち2体は,耐震補強として壁体の片面に補強筋を配置し,ポリマーセメントモルタル(PCM)で増厚補強した。これらの試験体に対して,一定軸力下における繰り返し水平加力実験を行い,既存の壁体の耐震性能ならびに耐震補強効果を検討した。PCMで壁体を増厚することにより最大耐力に関して顕著な補強効果が確認された。 3.既存補強ブロック造建物の耐震診断基準を検討するために,「補強コンクリートブロック造設計規準」の1964年版と1989年版の設計例建物を対象として,第2次診断を想定した強度指標について検討した。また,実在の補強ブロック造建物の水平加力実験結果を引用し,第1次診断に用いる耐力壁の終局時せん断応力度の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既存補強ブロック造建物の構造実態や劣化状況に関する現地調査は,大分県内においておおむね計画どおり実施できた。また,当初計画していた既存補強ブロック造耐力壁の耐震性能に関する実験に合わせて,平成25年度に開始予定だった耐震補強に関する実験も一部行った。さらに,耐震診断における強度指標の検討を計画より繰り上げて開始した。
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今後の研究の推進方策 |
計画に即しておおむね順調に研究が進展しているので,今後も当初計画に沿って研究を推進する。直交壁が壁体の耐震性能に及ぼす影響の評価は重要であるが,コンクリートブロック空洞部の一部にモルタルを充填するいわゆる部分充填型の補強ブロック造では,直交壁の影響がまだ解明されていないので,平成25年度には,加力装置を改造して直交壁を有する補強ブロック造耐力壁試験体の水平加力実験を行い検討する。また,補強ブロック造の耐震補強方法についても検討を進めていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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