研究課題/領域番号 |
24560694
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
城戸 將江 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (10453226)
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研究分担者 |
津田 惠吾 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (50112305)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 鋼・コンクリート合成構造 |
研究概要 |
今年度は「文献調査」および「実験」を同時進行で行うこととしていた.まず,文献調査については,近年開発された高強度鋼を用いたCFT柱を用いた実験的研究に関する論文を2007年度以降から12編収集し,次のことを示した.1)圧縮力を受ける場合(試験体数41体)について,コンクリート充填鋼管構造設計指針(日本建築学会,以後CFT指針)に示されている既往の設計式による計算荷重に対する実験荷重の比を算出し,これらの値と鋼管の径(幅)と板厚の比である径厚比,幅厚比の関係を示した.その結果CFT指針の適用範囲外の場合,設計式は危険側の評価をする場合があることがわかった.2) 軸力と曲げモーメントを同時に受ける中柱(柱の径に対する長さの比が4から12の柱,試験体数21体)については,円形断面柱の場合はCFT指針に示されている短柱の設計式と,角形断面柱の場合はCFT指針に示されている中柱の設計式と実験耐力がよく対応している.さらに,鋼管およびコンクリート強度がCFT指針の適用範囲内と範囲外について計算値と実験値との比較をすると,強度が適用範囲よりも高い場合で角形断面の場合には,危険側の評価をする場合がある. また実験については,試験装置の設計および試験体の設計を行った.実際には軸力載荷まで行う予定であったが,想定していたものよりも装置が大掛かりとなったため,検討に時間がかかってしまい,実験実施まで到達しなかった.しかし,装置ならびに試験体の設計はすべて終了し,すぐに製作にとりかかれるようになっている. 文献調査では,高強度材料を用いた場合現行の設計式を単純に用いることができないという可能性を示すことができ,今後新たな設計式を考えていくための有用な資料となった.また,実験のための載荷装置および試験体の設計を丁寧に行ったことで,次年度以降速やかに実験を行うことができるようになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度は,「文献調査」と「実験」を行うこととしていた.文献調査は,平成24年8月までに発表された日本建築学会の論文で,対象となる高強度材料を用いたものをすべて収集し,検討を行った.軸力のみを受ける場合,軸力と曲げを受ける場合について,既往の設計式との比較を行うことができたことから,内容としては十分であり,有用な知見を得ることができた. 一方,実験のほうは,実際には普通強度の鋼材を用いた試験体を製作し,載荷を行うこととなっていた.しかし,研究実績の概要にも記したが,載荷用の装置を構成する部品が想定よりもやや大きくなってしまい,試験体の寸法(長さ)を見直す必要が生じ,試験体の設計の再検討と載荷装置全体の検討に時間を要してしまった.そのことから,治具の製作が完了したのは一部となってしまい,実験については実施することができず設計のみにとどまってしまった. これらのことから,やや遅れているの評価とした.
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今後の研究の推進方策 |
【実験的研究】5月末までに治具設計および製作依頼,6月末までに試験体製作の打ち合わせおよび製作依頼を行い,8月末に治具および試験体製作が終了するようにする.当初予定していた,昨年度に行うべき試験体製作を今年度に行い,今年度予定していた高強度鋼材を用いた試験体の製作も併せて行うこととする.9月に試験体へのコンクリート打設を行い同時に載荷装置の組み立てを行う.9月末にパイロット実験を行う.その後は,データ整理および不具合等の有無を確認し,引き続き実験を進める.角形(あるいは円形)断面から先に取り掛かり,同じ断面形の実験を先に終わらせるようにする.これは,装置の組み替えを最低限とし,研究成果を早く得られるようにするためである. 【解析的研究】 交付申請時の申請書にある通り,解析を行う.現在プログラムを作成している途中であり,今後は角形CFT,円形CFTの荷重-変形関係が追跡できるようなプログラムとし,実験結果との比較ができるように準備する.パイロット実験が終わり次第,比較を行い,プログラムの妥当性について検証する.
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次年度の研究費の使用計画 |
・軸力および曲げを載荷するための治具製作(試験体側に取り付けるもの),ジャッキを取り付けるための治具製作(2か所)が必要で,これら治具の製作で約120万円を予定している.軸力が大きいので昨年度製作した治具よりも安全率をより高く設定して設計しなおしている.・試験体の製作に対し,約160万円を予定している(充填コンクリートもふくむ).・計測のためのひずみゲージが必要で,これらに約27万円を予定している.そのほか,研究成果投稿料,人件費,旅費として,約20万円を予定している.
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