研究課題/領域番号 |
24560694
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
城戸 將江 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (10453226)
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研究分担者 |
津田 惠吾 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (50112305)
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キーワード | 合成構造 / 柱 / 許容耐力 / 降伏耐力 |
研究概要 |
実験的研究として,STKR400,□125×6を用いた試験体を製作し,油圧ジャッキおよび試験体を取り付けるための治具の製作を行った.また,H-SA700鋼材を購入し,この鋼材を用いて試験体を製作するための打ち合わせを鉄骨製作所と行い,来年度の実験スケジュールを決定した.また,後述する解析プログラムにより,試験体の予備計算を行った.本来は,高強度鋼を用いた試験体の製作を行う予定であったが,特殊な鋼材であったため,問い合わせから購入までほぼ1年を要した. 解析的研究としては,コンクリート充填角形鋼管柱を対象とし,一定軸力のもとで水平荷重を受ける片持ち柱形式の荷重-変形関係を求めることができる解析プログラムを作成した.当初の予定として,解析により実験結果の追跡を行うこととしていた.しかし,実験がやや遅れていることもあり,先にプログラム作成を終え,既往の研究との比較ならびに試験体の事前の予備計算を行った. また,追加の検討としてこの解析プログラムを用いて,軸力比,コンクリート圧縮強度,鋼管の降伏強さをパラメータとし,角形CFT柱の荷重-変形関係を求めた. コンクリート充填鋼管構造設計施工指針には,短柱の降伏耐力が示されているが,計算が煩雑なため累加強度式を用いてもよいことになっている.許容耐力評価式は,この累加強度式となっている.この降伏耐力と許容耐力を解析によって求め,荷重-変形関係上に示し,降伏耐力時の部材角と許容耐力時の部材角を求めた. その結果,1) 降伏耐力時の部材角は,許容耐力時の部材角より小さい,許容耐力時の部材角に対する降伏耐力時の部材角の比は,軸力比が大きくなるにつれおおむね小さくなる傾向にあることを明らかにし,また,許容耐力時の部材角に対する降伏耐力時の部材角の比に及ぼす,コンクリート強度,鋼材の降伏強さの影響を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験的研究と解析的研究を行うこととしていた.実験的研究はやや遅れている.H24年度は,やや遅れていると評価しているが,H24年度の計画はすべて遂行できた.しかし,実績の概要に示した通り,高強度鋼材の購入にほぼ1年を要してしまったことから,試験体の製作には至らなかった.また,H24年度に設計を行っていた治具についても製作に時間がかかり,装置の組み立てまでは終了できなかった. しかし,H25年度には高強度鋼材を用いた試験体の製作方法について決定できており,H26年度すぐに製作に取り掛かれるよう段取りが終わっている.したがって,H26年度中にすべての実験を終えることができ,遅れを取り戻せると考えている. 解析的研究については,当初は実験結果を追跡することのみを目標としていたが,実験が遅れていることもあり,解析プログラムを速やかに作成し,実験の準備計算を行った.また,追加の検討として,一定軸力のもと水平荷重を受ける角形CFT柱を対象とし,コンクリート充填鋼管設計施工指針に示されている,降伏耐力に達した時の部材角と許容耐力に達した時の部材角の比に及ぼす軸力比,コンクリート強度,鋼材の降伏強さの影響を示すことができた.これは,当初予定していなかったものであるが,今後損傷限界を考えるうえで有用な知見を得ることができた.したがって,総合的に判断しておおむね順調に進展していると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
実験的研究として,1) STKR400を用いた柱の実験を行い,2)H-SA700鋼材を用いた試験体を製作し,実験を行う.これらと同時に短柱圧縮試験も行う. 解析的研究として,試験体に使用されている鋼管やコンクリートの応力ひずみ関係を適切にモデル化し,実験結果との対応を確認する. 損傷限界クライテリアの提案について,1) 実験結果において,軸縮量,局部座屈発生,鋼管降伏と定義できる部材角を示す.2) 解析と実験結果の比較を,鋼管降伏を対象に行い,対応を確認する.3) 既往の角形CFT柱の損傷限界部材角と,今回行った高強度鋼を用いた角形CFT柱の損傷限界部材角を比較し,その違いを示す.この時に,H24年度に実施した文献調査の結果も含め検討する.4) これらの検討を通し,高強度鋼材を用いた場合の損傷限界クライテリアを示す.
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次年度の研究費の使用計画 |
H25年度に高強度鋼材を用いて試験体を製作する計画であったが,鋼材の購入に1年を要したため製作できなかったため. H26年度に高強度鋼材を用いた試験体を製作する.
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