実験的研究として,二つの鋼材種別,STKR400(普通鋼材),H-SA700(高強度鋼材)の短柱圧縮試験(中空,コンクリート充填鋼管(CFT)),SRKR400で断面寸法□-125×125×6を用いた長柱CFT試験体実験を1体,H-SA700で□-125×125×6を用いた長柱試験体実験を,CFTを2体,中空を1体,合計4体の実験を行った.一定軸力と繰返し水平荷重を受ける構造実験で,実験変数は,1) コンクリート充填の有無,2) 軸力比(0.15,0.3),3)鋼材種別,である. 材料実験としての位置付けである短柱圧縮試験では,次のような知見が得られた.中空試験体では,H-SA700 試験体のほうが,STKR400試験体と比較して,最大耐力後の荷重低下が著しい.CFT試験体では,STKR400 試験体のほうが,最大荷重後の耐力低下が著しく,いずれの場合も荷重の再上昇がみられた. 長柱の実験では,荷重-変形関係,曲げモーメント-部材角関係,部材角-軸縮関係,荷重-ひずみ関係を示し,損傷限界として位置付けられる,鋼管降伏,局部座屈発生,亀裂発生との関係を示した. 実験結果からは,次の知見が得られた.1)STKR400 のCFT 柱並びにH-SA700 鋼材の中空柱は局部座屈が進展し,耐力が低下した.H-SA700 鋼材のCFT 柱は亀裂により荷重が急激に低下した.2)H-SA700で軸力比0.15の試験体 を除く3 つの試験体において,軸縮みが0.2%を超えると急激に軸縮み量が大きくなった.3)STKR400 鋼材の柱の方がH-SA700 鋼材の柱よりも早く局部座屈が発生した. 実験時に記録した損傷限界時の部材角と鋼材種別,軸力比との関係を,損傷限界部材角とし,既往の文献調査の結果と合わせて示した.
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