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2013 年度 実施状況報告書

高次モーメントによる最大地震応答分布の推定

研究課題

研究課題/領域番号 24560699
研究機関神奈川大学

研究代表者

趙 衍剛  神奈川大学, 工学部, 教授 (50283479)

キーワード地震最大応答 / 構造信頼性 / 統計モーメント / 耐震安全性
研究概要

本研究では最大地震応答の統計特性である平均値、標準偏差、歪度及び尖度などのモーメントを求める方法を構築し、分布形の位置、肥満度、非対称性及び頂点の鋭さの4つの特徴を表すこれらのモーメントによる最大地震応答の確率密度近似を行い、これまでの厳しい仮定に依存せずに、弾塑性応答も考慮できる耐震信頼性評価法を提案することを目的とする。今年度では昨年度の研究成果に基づいて、以下の項目を遂行した。
1). 最大地震応答の3、4次モーメントに基づく標準正規変換の導出と検証。まず既存の極値分布形と正規分布の関係から歪度を含む標準正規変換を導いた。数多くの地震記録を収集して、弾性1自由度系を対象とし、基準化した地表面加速度で大量の地震応答解析により、最大地震応答のデータベースを構築する。収集したデータの統計処理を行い、それらのヒストグラムを描き、平均値、標準偏差、歪度及び尖度などのモーメントを求め、最大地震応答のヒストグラムとモーメントの関係を考察した。
2). 最大地震応答の高次モーメントに基づく標準正規変換の検証。既存極値分布形と標準正規分布との関係に基づいて、高次モーメントに基づく標準正規変換及び逆標準正規変換を検討し、収集された数多くの最大地震応答の統計データに応用して、これまでの厳しい仮定で得られた最大地震応答分布と比較検討し、各仮定が最大応答の分布形への影響を明らかにした。
3). 最大地震応答の3、4次モーメントの算出方法の構築。点推定法では感度解析及び繰り返し計算は必要としないが、確率変数の数が多くなるとき、精度が維持できなくなることが欠点である。ここでは、この欠点を克服するために、確率変数の関数を2次Taylor展開の形で再考察し、最大地震応答の3、4次モーメントを精度よく算出する方法を導出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究が計画書とおりに進んでいる。

今後の研究の推進方策

1). パラメータの不確定性の取り入れ。これまでの最大応答分布は確率過程として地震入力のみの不確定性しか考慮していないが、本研究では、地震入力のみではなく、構造解析モデル及び地震入力モデルに関わるパラメータの不確定性を考慮する。この段階では、減衰定数と固有周期のみに含まれている不確定性に注目し、減衰定数と固有周期の確率分布形によって乱数を発生し、モンテカルロ・シミュレーションによりパラメータの不確定性を考慮した分布形を求め、地震入力のみの不確定性を考慮した時の最大応答分布と比較し、検討する。
2). 高次モーメントに基づく耐震信頼性指標の導出。高次モーメントに基づく標準正規変換を一つの確率変数としての耐震信頼性における動的限界状態関数に適用し、信頼性指標または破壊確率と高次モーメントの関係を解明し、その関係を用いて構造耐震信頼性解析の高次モーメント法を構築する。
3). 分布形が分からない確率変数の取り入れ。分布形が分るかどうかによって確率変数を二つのグループに分け、分布形が分る確率変数に対してこれまでのRosenblatt変換を適用し、分布形が分らない確率変数に対して既に開発された高次モーメントに基づく標準正規変換を適用する。それらをこれまでの評価手法に取り入れ、対応するプログラムを開発し、分布形が分らない確率変数を考慮した構造耐震信頼性評価を行う。

次年度の研究費の使用計画

現在研究室にある計算機器で研究を遂行でき、かつ予定していた国際会議の発表を見送ったため、次年度使用額が生じた。
大量の地震データの整理及び統計分析を行うため、大学院生などに協力してもらう謝金及び国際会議に出席するための国際旅費も計上している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 異なる固有周期における地震最大応答の相関性に関する一考察2014

    • 著者名/発表者名
      田川恵理
    • 学会等名
      日本建築学会学術講演会梗概集
    • 発表場所
      神戸大学
    • 年月日
      20140912-20140914

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公開日: 2015-05-28  

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