最大地震応答の分布形を同定することは不規則振動理論及び構造耐震信頼性評価の基本的な問題であり、既往研究では弾性応答を対象として確率過程の交叉の問題から理論的に導かれることがほとんどである。これまでの誘導は理論的で厳密であるが、地震動を定常ガウス過程、ホワイトノイズなどとして厳しく仮定しなければならず、現実と掛け離れることが多く、弾塑性地震応答を考慮する終局限界に対応できなくなる。そこで本研究では最大地震応答の統計特性である平均値、標準偏差、歪度及び尖度などのモーメントを求める方法を構築し、分布形の位置、肥満度、非対称性及び頂点の鋭さの4つの特徴を表すこれらのモーメントによる最大地震応答の確率密度近似を行い、これまでの厳しい仮定に依存せずに、基本確率変数の分布形がわからない基本確率変数のモーメントに基づく耐震信頼性評価法を提案した。
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