研究課題/領域番号 |
24560700
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
後藤 正美 金沢工業大学, 環境・建築学部, 教授 (40170469)
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研究分担者 |
西村 督 金沢工業大学, 環境・建築学部, 准教授 (30367445)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 耐震設計 / 木造住宅 / 耐震調査 |
研究概要 |
高山市内の木造建物を対象に、外観調査(約5000棟)と構造詳細調査(11棟)を実施し、その構造特性を明らかにした。高山市内には伝統的な木造住宅が約5割を占めていること、平面形式としては、1列型、2列型、3列型の3タイプが存在するが、1列型と2列型がほとんどであり、3列型は極めて希であること、建物の中間部には、大きな吹き抜けがあり、明かり取りや排煙としての役割を有していること、構造的には、吹き抜け部分の構造が耐力や剛性を有しており建物の地震時挙動を大きく支配していることなどが明らかとなった。 各構造要素の力学特性を明らかにするために、構面を対象に静的加力実験を実施した。対象建物の多くは土壁が主要な耐震要素であるが、土壁はススキで小舞が編まれており、高山特有の土壁であるが、力学的な特性は、竹小舞やヨシの小舞の土壁と同等の性能を有していることが明らかとなった。さらに板壁も多く使用されているが、実験を実施できず次年度以降に実施する予定である。 建物の総体の耐震性能を把握するために、構造詳細調査結果に基づき、解析モデルを作成し、地震を想定した構造解析を行い、建物の耐震性能について考察した。振動特性として、平面的に吹き抜け部分を中心に振動モードが変化しており、一体の建物として簡易的に評価することが難しいことが明らかとなった。今後は、ゾーニングなどの方法を提案し、各ゾーン毎に耐震性能を評価する方法を開発・確立してゆく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
木造住宅は、地域によってその特性が異なり、全国一律の性能評価法を適用することには限界がある。本研究では、金沢市、高山市、鎌倉市と歴史的な地域を対象に、各種の調査を行い、地域の特性を反映できる耐震性能評価法を提案することを目的としている。 目的に対して、高山市域の木造住宅に対して一定の成果を得た。また、金沢市域の木造住宅に対して、研究の蓄積がある。今後は、鎌倉市域の洋風が色濃く反映された住宅を対象に研究を進めることで、当初の目的を達成できるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
高山市域の木造住宅の解析事例を増やして、耐震性能評価法の精度を向上させることと、鎌倉市域の外観・詳細調査を実施し、洋風木造住宅の耐震性能を明らかにするとともに耐震性能評価法を確立する。
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次年度の研究費の使用計画 |
鎌倉市域の木造住宅を対象に、全数及び構造詳細調査を実施し、建物の構造特性を明らかにする。調査結果に基づき建物の地震応答解析を行いその耐震性能を考察する。 上記の結果を踏まえて、金沢、高山、鎌倉で共通に適用できる耐震性能評価法を提案する。
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