研究課題/領域番号 |
24560701
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
山田 和夫 愛知工業大学, 工学部, 教授 (10093080)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | コンクリート / 内部探査 / 弾性波トモグラフィ法 / 赤外線サーモグラフィー法 / 耐震補強 / 高性能アンカー / 支圧強度 / コンファインドコンクリート |
研究概要 |
1.既存コンクリート造建築物の検査・診断方法に関する検討:(1)弾性波を利用した検査・診断方法に関する研究では、波線追跡法とマルカート法を適用した伝搬速度分布の算定結果は、細部に亘って実際の伝搬速度分布を再現できること、誤差を含む実測データに対しては、準ニュートン法を適用すると試験体内部の局所的な伝搬速度の変動が平滑化され、伝搬速度分布と介在物の対応も良好であること、などが明らかとなった。(2)電磁波を利用した検査・診断法に関する研究では、赤外線サーモグラフィー法による内部探査結果の定量化を図るには、測定対象内部の熱伝導率および熱拡散率、測定表面と外気領域との境界条件である日射吸収率および熱伝達率の取扱いが重要であること、内的熱特性および外的熱特性が広範囲に変化する場合でも、本研究で提案した非定常逆解析手法を用いることによって、精度良く内部探査ができること、などが明らかになった。 2.既存コンクリート造建築物の耐震補強方法に関する検討:(1)横拘束を受けるコンクリートの支圧特性に関する研究では、横補強形式の異なるコンファインドコンクリートの支圧強度は、等価横補強比を説明変数とした推定式を用いることで統一的に評価できること、支圧荷重を受ける場合の荷重-軸変位関係は、鋼管および帯筋による多軸効果成分とかぶり部と支圧部コンクリートの界面で生じるせん断抵抗成分を考慮することにより合理的に説明できること、などが明らかとなった。(2)外側耐震補強工法に関する研究では、新旧接合部のせん断耐力は、鋼管シアキーの外径と埋込み深さの増大とともに増大すること、既存部コンクリートの支圧強度によって決まる新旧接合部のせん断耐力は、本提案解析モデルによって合理的に説明できること、などが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.既存コンクリート造建築物の検査・診断方法に関する検討 研究目的として掲げた既存コンクリート造建築物の変状に対する定量的な評価方法の確立を目的とした研究のうち、弾性波トモグラフィー法に関しては、研究実積で述べたように、各種の解析方法を相互に比較した結果、破線追跡法と準ニュートン法またはマルカート法を併用した解析方法が有用であることを確認できた。また、び赤外線サーモグラフィー法に関しては、定量的な内部探査を行う上で必要となる各種の熱特性の定量化を行うとともに、非定常熱伝導解析を使用した逆解析手法の適用性について検討を行い、内部探査方法の妥当性の確認ができ、研究の1年目の段階としては、次年度の研究の基礎固めができたものと判断できる。 2.既存コンクリート造建築物の耐震補強方法に関する検討 研究目的として掲げた横拘束を受けるコンクリートの支圧特性に関する研究については、研究実積で述べたように、横補強形式の異なるコンファインドコンクリートの支圧強度の評価式の定式化を行うとともに、支圧荷重を受けるコンファインドコンクリートの変形特性に関する解析的な取扱い方法について検討を行い、解析方法と妥当性が確認できた。また、耐震補強方法に関しては、高性能アンカーを使用した外側耐震補強工法を提案するとともに、その適用性について検討行い、従来の補強方法と比較して有用であることが明らかとなり、初年度の研究目標はほぼ達成できたものと判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
1.既存コンクリート造建築物の検査・診断方法に関する検討 日本非破壊検査協会において、2013年4月~2014年3月の間に「コンクリート構造物の弾性波による非破壊試験方法(第2部 衝撃弾性波法)」の見直しおよび新た方法の取り込みを行うことが決まっており、その中で、磁気的な弾性波入力方法であるパルス電磁力法の検討を行うことを予定しているため、次年度はパルス電磁力法の適用性についての検討を精力的に行うとともに、この試験方法の実用化を目途として、試験手順の標準化を目指す。 2.既存コンクリート造建築物の耐震補強方法に関する検討 研究業績で述べたように、平成24年度において、あと施工アンカーによる外側耐震補強方法の検討を行ったため、平成25年度に、建築物内部の架構に高靱性コンクリート製耐震壁を増設するアンカーレス耐震補強方法の検討を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度には、機械的な弾性波入力源である衝撃弾性波入力装置を購入して一連の基礎的検討行ったが、次年度に、日本非破壊検査協会において、弾性波の新たな入力方法の検討を行うこととなったため、それに連動させて、平成25年度に電磁気的な弾性波入力装置を購入して、弾性波法による内部探査結果に及ぼす弾性波入力方法の検討を行う。
|