研究課題/領域番号 |
24560703
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
寺西 浩司 名城大学, 理工学部, 教授 (30340293)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | フレッシュコンクリート / 調合 / レオロジー / 流動性 / セメント / 骨材 / 粒度分布 / 実積率 |
研究概要 |
本年度(初年度)は、研究の第1段階として、セメント粒子の粒度分布とセメントペーストのワーカビリティーの関係について検討した。具体的には、セメントの代替材料として高炉スラグ微粉末などの粉体を用いた実験を行った。この実験では、粉体の粒度分布を変化させて、その比表面積、密度などを測定した。また、これらの粉体を用いて、水粉体比、高性能AE減水剤の添加率などを変化させた模擬セメントペーストを練り混ぜ、ペーストフロー試験やブリーディング試験などを行った。その結果、(1)高性能AE 減水剤の添加率が同一の場合、ペーストの流動性に対する粉体の粒度分布や水粉体比の影響は、 粉体分散距離(ペースト中におけるセメント粒子間の隙間の平均的な距離)により包括的に評価できる可能性が高い、(2)ブリーディング水がペーストの流動性に寄与する度合いは小さい、などの知見を得た。 また、本年度の研究では、平成25年度の研究を一部先取りし、粉粒体(=セメント粒子+細骨材)の粒度分布とモルタルのワーカビリティーの関係を調べるための実験も予備的に行った。次年度に、この実験の結果を取りまとめ、次年度以降の研究に活用する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究の過程で、粉体分散距離を求めるための重要な因子である、粉体の実積率の測定が非常に困難であることが判明し、この点は、本年度の研究における未解決な課題として残った。粉体の実積率測定手法については、次年度に改めて詳細な検討を行い、何らかの新しい手法を考案する必要があるものと考えられる。ただし、全体としては、本年度の研究計画を、概ね予定通りに達成することができたものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、まず、本年度に解決できなかった課題である、粉体の実積率の測定方法について検討し、新たな測定手法を考案する。この検討に関しては、例えば、粉体を充填した容器をチャンバー内に入れて、真空挽きにより減圧し、最密充填するような方法を試行する。 次に、研究の第2段階として、粉粒体(=セメント粒子+細骨材)の粒度分布とモルタルのワーカビリティーの関係について検討する。次年度の実験でも、本年度と同様に、セメントの代替材料として高炉スラグ微粉末などの粉体を用い、粉体の粒度分布、細骨材の粒度分布、水粉体比、粉体細骨材比、高性能AE減水剤添加率などの要因を変化させて模擬モルタルを練り混ぜる。そして、それらのモルタルに対して、レオロジー試験、フロー試験、、分離抵抗性試験(円筒貫入試験など)などを実施する。同時に、モルタルに使用する細骨材に対してふるい分け試験、実積率試験を行い、本年度の実験で得られたセメント粒子の粒度に関する試験結果と合わせて、粉粒体(=セメント粒子+細骨材)全体としての粒度分布や実積率を計算する。 そして、得られた実験結果をKennedy の余剰ペースト膜厚理論を準用したようなモデル(以下、余剰水膜モデルという)により考察できないかを検討する。具体的には、まず、モルタルを、水と粉粒体から成る2 相材料と見なし、粉粒体の実積率,平均寸法および体積比から「粉粒体分散距離」を計算し、それとモルタルの流動性やレオロジー性質との関係性を調べる(モルタルやコンクリートをセメントペーストと骨材から成る2 相材料と見なしたときに、類似の理論により両者の関係を合理的に説明できることは、過去の科学研究費補助金による研究で既に確認している)。次に、粉粒体に関する各種パラメータがモルタルの流動性およびレオロジー性質に及ぼす影響を、粉粒体分散距離を指標として検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
模擬モルタルの材料や模擬モルタルを用いた実験に伴う消耗品などを主に購入する。また、「次年度使用額」が26万円発生ため、その費用を活用して、粉体の実積率を測定するための装置を製作する予定である。
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