コンクリートおよびモルタルへの余剰水膜理論の適用に関する昨年度までの研究では、拘束水比から求めた粒子分散距離を利用するという限定的な形での理論の適用に留まっており、本研究で本来意図した形で余剰水膜理論を適用する段階までには至っていなかった。これは、コンクリートやモルタルを構成する粉粒体(粉体粒子+細骨材+粗骨材)の実積率を十分な精度で測定できる試験方法を確立できていなかったことが原因である。 本年度は、以上のような背景から、粉粒体の実積率を測定するための新たな試験方法(水浸脱気法)を考案し、その妥当性を検討した。また、この試験により得られた実積率の試験結果を基に粒子分散距離を計算した場合の余剰水膜理論のコンクリートやモルタルへの適用性についても検討した。そして、新たに考案した試験方法を用いれば、十分な精度とまではいえないものの、他の試験の場合よりは高い精度で実積率を測定可能であり、余剰水膜理論の適用性も向上するとの結論を得た。
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