平成24・25年度の科学研究費で,提案している十字鉄骨を用いた八角形断面の鋼コンクリート合成柱材の構造性能を実験および解析で調べ,本構造が優れた耐震性能を保持していることを示し,施工性も簡易であることから,高耐震性能を目指した省力化・省人化構法の柱材であることを明らかにしてきた. 最終年度の平成26年度は,この合成柱材と鉄骨梁で構成された混合構造骨組を想定し,柱梁接合部における応力伝達機構を検討するために,本柱と鉄骨梁フランジからなる部分試験体を14体製作し,引張試験を行った(実験シリーズ1).実験変数は,外ダイアフラムの幅,スチフナの幅とコンクリート充填の有無である.さらに,薄肉鋼管で横補強した鋼コンクリート合成柱と鉄骨梁で構成された混合構造十字形骨組試験体を4体作成し,地震時応力に対応した荷重を載荷する実験を行った(実験シリーズ2).今回の実験では,PC鋼棒を通して,鉄骨梁を柱に接合させるディテールを基本として,ダイアフラムの有無,内ダイアフラムの有無を実験変数にとっている.また,比較実験のために,梁鉄骨を柱鉄骨に溶接するディテールも1体製作した. 実験シリーズ1の実験を行うことにより,外ダイアフラムおよびスチフナの幅の設計法を明らかとした.今回の実験からはコンクリートを充填することによる効果が見られなかったので,今後,さらにディテールを検討していく. 実験シリーズ2の実験を行うことにより,PC鋼棒を用いた接合部ディテールで柱梁間の応力伝達はスムーズに行えることを明らかとした.また,このディテールを遣う場合には,スチフナは不要となることを明らかとした.
|