1.新築の戸建住宅 前年度の高性能なパッシブ換気住宅を対象とした薪ストーブ利用時の室内環境調査を継続し,新たにエネルギー収支とエクセルギー収支による評価を行い,温熱環境の形成の実態をより詳細に解明した.主に薪ストーブのエクセルギー消費過程,断熱性能と入出力・消費エクセルギーの関係を明らかにした. 2.既存・新築の学校体育館 無暖房化に効果的な環境配慮設計・運用方法の提案に向けて,前年度の教室棟で体育館を取り囲む「内包型」で設計した体育館(K校)に加え,新たに暖房機能の停止に備えた「高断熱型」で設計した体育館(H校)の実証実験を行った.H校の設計条件は,無暖房の状況(人体発熱のみ考慮)で外気温-10[℃],室温10[℃]以上(内外温度差20[℃]以上)となっている.その上で,物理的・心理的双方の影響に基づく室内環境の評価,他校及び旧校舎の暖房エネルギー消費量との比較を行い,無暖房化の可能性が示唆された.一方,初年度の気密測定(1980年代竣工,S造)に準拠する形で,再度気密測定(2010年代竣工,SRC造)を行った結果,総相当隙間面積は1000[cm2]前後,漏気回数は約0.4[回/h]であることが定量化された.
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