研究課題/領域番号 |
24560709
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
郡 公子 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20153504)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | ガラス建築 / ダブルスキンファサード / エアフローウィンドウ / 熱貫流率 / 日射熱取得率 / 蓄熱負荷 |
研究概要 |
(1)高性能ガラスファサードの事例調査:種々の建築専門誌および日本建築学会や空気調和・衛生工学会の論文集に掲載されている高性能ガラスファサード建築の記事、論文を調査することで、ガラスファサードの設計動向や性能の実態把握をした。特にダブルスキン建築に関しては、約200編の論文が発表されており、自然換気性能の実測結果を整理した。 (2)設計用蓄熱負荷の解析と実用的推定法の開発:ガラスファサードビルは、特に冷房重視の設計が必要であり、これまで無視されてきた冷房蓄熱負荷の実用算定法が必要であった。ガラスファサードビルを含むオフィスビルを対象に、空調設計用蓄熱負荷の特性解析を行い、その結果をもとにファサード熱性能指標から蓄熱負荷を推定する実用的計算法を開発した。 (3)ダブルスキンおよびエアフローウィンドウ共通の熱性能式の提案:熱貫流率、日射熱取得率を実用的に算出可能な式を理論的に誘導し、その利用に必要な熱性能値整備の考え方を整理した。 (4)ダブルスキンファサードの設計条件下の基本的な環境性能解析:ダブルスキン単独で自然換気を行う多層吹抜けタイプに関して、特に夏期冷房設計用気象条件下での自然換気効果や各層による熱性能の違いなどの基本的な性能を数値解析から明らかにした。 (5)ダブルスキンファサードの環境性能の季節変動特性の解析:標準年気象条件を想定する精算により、自然換気を行うダブルスキン熱性能の季節による変動特性と期間全体性能の解析を行い、基本特性を把握した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
高性能ガラスファサードを可能にするダブルスキン・エアフローウィンドウなどの窓システムの熱性能実用式を理論的に誘導することに成功した。また、建築事例や研究事例の調査を十分に行い、基本的数値解析も順調に進められた。蓄熱負荷の実用計算法も開発できた。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)高性能ガラスファサードの設計用熱特性値の整備:ダブルスキン・エアフローウィンドウについて、提案した熱性能実用式を利用するために必要な熱特性値整備のための検討をさらに進め、データベースを作成する。 (2)ガラスファサードの熱性能に関する実測調査:ガラスファサードの熱性状の実測、室内熱環境の実測を行い、放射の影響や室温分布の特性を把握し評価する。 (3)高性能ガラスファサード環境性能の季節変動特性の解析:ダブルスキン、エアフローウィンドウ、高性能一般窓について、1年間の性能変化の特性や過酷気象条件での特性の数値解析をさらに進め、熱性能への影響の強い要因を明らかにし、熱性能簡易推定法開発の方向を絞る。 (4)空調設計用蓄熱負荷の実用計算法の改良と精度検証:提案した蓄熱負荷計算法の検討を更に続け改良するとともに、精度の検証を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、気象の影響によるガラスファサードまわりの熱性状や室内環境への影響を実測評価する。次年度使用額(B-A)の160万円は、測定に必要な太陽追尾装置付き直達日射計の最新装置購入のために繰り越した。次年度には、ほかにカラープリンター複合機40万円、国内旅費50万円、消耗品30万円を予定している。
|