研究課題/領域番号 |
24560714
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
福代 和宏 山口大学, 技術経営研究科, 教授 (30346572)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 省エネルギー / 太陽光発電 / 電力消費量 / 環境意識 |
研究概要 |
本研究は,第一に東日本大震災以降の日本社会における環境・エネルギー意識の変容を,第二にそれらの意識の変容が一般世帯の省エネ投資(省エネ家電への転換、断熱材・二重サッシ・夜間蓄冷蓄熱機器・太陽光発電等の導入)や省エネ活動(節電・冷暖房設定温度変更等),また補助金など各種環境施策への感度にどのような変化をもたらしているのかを,震災前の研究成果との比較によって明らかにすることを目的としている。 平成24年度は,マクロとミクロの2通りのアプローチによって震災前後の環境・エネルギー意識の変容および省エネ投資・省エネ活動の実態を明らかにした。前者では公的統計や電力・都市ガス会社の統計データを基に震災前後の一般世帯のエネルギー消費量の違いを明らかにした。後者ではネットリサーチによって,太陽光発電導入世帯と非導入世帯における震災前後の意識の変化,省エネ活動への取り組み,電力消費量の変化などを明らかにした。 マクロ調査では地域ごとに震災後の一般世帯の節電量に違いがあること(つまり節電意識には地域差がある可能性が指摘できること),電力から他のエネルギー源へのシフトは明確には表れていないことなどが明らかになった。 ミクロ調査において省エネ・節電・環境意識に関して太陽光発電導入世帯と非導入世帯とを比較した場合には,太陽光発電導入世帯の方が震災前から節電・省エネを実施している世帯が多く,また震災後,再生可能エネルギーに関心を寄せている世帯が多いという違いが見られた。 また,太陽光発電導入世帯について詳細調査を行うと,震災前には太陽光発電システムと同時に導入されることが多かったオール電化が,震災後には導入が避けられる傾向にあることがわかった。 さらに,震災後,太陽光発電導入世帯では震災前に比べ買電量は大きく減少していることが明らかになった。非導入世帯でそれほど買電量の減少が見られないこととは対照的であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は計画通りにマクロ調査およびミクロ調査の実施ができた。 マクロ調査では公的統計や電力・都市ガス会社の統計データを基に震災前後のエネルギー消費量の違いを明らかにできた。すなわち,地域ごとに震災後の節電量に違いがあること(つまり節電意識には地域差がある可能性が指摘できること),電力から他のエネルギー源へのシフトは明確には表れていないことなどが明らかになった。 ミクロ調査では,ネットリサーチによって,太陽光発電導入世帯と非導入世帯における震災前後の意識の変化,省エネ活動への取り組み,電力消費量の変化などを明らかにできた。すなわち,太陽光発電導入世帯の方が震災前から節電・省エネを実施している世帯が多く,また震災後,再生可能エネルギーに関心を寄せている世帯が多いという結果や震災後,太陽光発電導入世帯では震災前に比べ買電量は大きく減少していることが明らかになった。 以上のように,震災後の一般世帯における環境・エネルギー意識の変容,省エネ投資や省エネ活動への取り組みの変化を明らかにすることができ,おおむね順調に研究が進展したと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度においても研究計画通りに推進する。 ミクロ調査,すなわち一般世帯数千件程度を対象とするネットリサーチを平成24年度に続けて実施し,(1)どのような属性を持つ世帯が、(2)どのような環境施策に応じ、(3)どのような省エネ投資や省エネ活動を実施し、(4)どの程度の省エネルギーを達成するか、ということを明らかにする。ネットリサーチの実施に当たっては,調査会社の有するパネル(回答者集団)を利用し,一般世帯に対して調査会社経由でwebアンケートを依頼する。このネットリサーチの実施にあたっては直接経費のうちの「その他」を使用する。 また,平成24年度および平成25年度の研究成果をまとめ,学会等で発表する。この学会発表に当たっては,直接経費のうちの「旅費」を使用する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費のうち,旅費に充当・使用する。
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