本研究は、高レベルの道路交通騒音に長期間曝露されることの健康リスクについて研究するためのデータ構築に向けて、[研究1]道路に面する地域における住戸ごとの道路交通騒音の予測法、(担当:藤本一壽/研究代表者)、および[研究2]国勢調査などの入手可能なデータベースから住戸ごとの居住者数を精度よく推定する方法(担当:平栗靖浩/研究分担者)について研究し、これら2つの研究成果を統合して、[研究3]高レベル道路交通騒音に曝露される人口の推定法を確立する(担当:藤本、平栗)ことを目的とする。 平成26年度(最終年度)は、藤本は、道路に面する地域における住戸ごとの道路交通騒音の予測法を研究し、昨年度までに提案した点音源モデルに基づく戸建て住宅群による道路交通騒音減衰量の予測法F2012の簡易計算式を作成した。これにより、高レベルの道路交通騒音に曝露される人口の推定に必要な“道路に面する地域における住戸ごとの道路交通騒音”が容易に予測できるようになった。 平栗は、「国勢調査などの入手可能なデータベースから住戸ごとの居住者数を精度よく推定する方法」を研究した。昨年度の研究により得られた「基盤地図情報」、「国土数値情報」、「住宅・土地統計調査」、「国勢調査」に加えて新たな地理情報として、Google Maps Javascript APIを用いた施設情報データベースの構築について検討し、その有用性を明らかにした。また、岡山市の幹線道路沿道の住居/非住居判別調査結果を基に、居住者数の推定精度を明らかにした。 以上から、本研究の目的である「高レベル道路交通騒音に長期間曝露されることの健康リスクについて研究するための道路交通騒音曝露人口の推定法」を提示した。
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