研究課題/領域番号 |
24560724
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
高 偉俊 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (20288004)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 水素 / パイプライン / 住宅 / 分散型電源 / 電池連系システム / 導入効果 / 実証研究 / 燃料電池 |
研究概要 |
本年度では海外、日本における水素パイプラインによる定置用燃料電池の実態を調査し、日本における民生用燃料電池向けの水素インフラの問題点を明らかにする。その問題を分類し整理する。水素パイプラインによる水素エネルギー利用の位置付けを明確にした。 また本年度では北九州市東田にあるエコハウスに太陽光電池、ガス燃料電池、水素燃料電池の分散型エネルギーシステムが導入された場合のそれぞれの経済性を考慮した最適容量又は年間コストについて理論研究を行った。構築したモデルを用いて、福岡県北九州市八幡東区東田2-2-6 にある木造2 階建ての住宅を対象として分析を行った。 研究では感度分析によって最適な発電容量を決定した。感度分析は、各発電設備の最適導入容量に対して電力料金、売電価格、炭素税、ガス料金、水素価格が変動した時にどの程度の影響を与えるか調べる手法である。研究対象の住宅に太陽光発電(PV)、ガス燃料電池(FC)、水素燃料電池(FH) の各々を導入した時の感度分析によってグラフを作成した。経済性に関わる要因として、電力料金、ガス料金、売電価格、初期投資、炭素税、水素価格を取り上げ、それらの要素が各発電設備にどのような経済的影響が与えられるのかを検証した。 電力料金が変動する時、FCは電力料金が50 円/kWhになれば、初期投資260 万円/kWのままでも導入効果があること分かった。電力料金が変動する時、FHは電力料金が50円/kWhになれば、初期投資180 万円/kWまで下げれば、導入効果があること分かった。水素価格の影響について、水素価格が20 円/m3 になれば、初期投資220 万円/kW まで下がると、導入効果があることが分かった。そのほかの要素についても、現段階ではFC、FH は経済性がほとんどないことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第一段階の目標「基本調査及びデータベースシステムの構築」については土地利用データ、種類別バイオマスの賦存量、製鉄所や化学工場の規模と立地、それから地域の電・熱源(太陽・風力発電、未利用エネルギー等)データを利用して、水素パイプラインによる3 電池連系システム導入のための情報システムを構築することができた。 第二段階の目標「水素パイプラインによる電池連系システムの計測」については、現地エコハウスの運転設置が遅れているため、現在はこの夏に行う予定である。 そのため、平成25年度を予定している「第三段階 設計と評価システムの開発」のシステム評価を先行して、理論研究を行った。水素パイプラインの供給特性、自然エネルギーの利用ポテンシャル、蓄電池の充放電特性及びエネルギーの消費構造などに基づいて、創エネと蓄エネによる自立型エネルギーシステムの統合モデルを構築した。 また 電池を連動して利用するエネルギー供給システムの設計とその最適化を目指し、省エネルギー性、環境保全性、事業性の面からその導入可能性と効果を綜合的に評価できる手法の開発に取り掛かっている。
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今後の研究の推進方策 |
第二段階水素パイプラインによる電池連系システムの計測が遅れているが、現在市の許可をとり、夏には実施する予定をしている。北九州水素タウンにおいて、水素パイプラインによる純水素型燃料電池、太陽光発電、蓄電池を連動して利用する水素燃料電池実証住宅を設置している。三つの電池を同時に運転させるとき、外部購入電力量が最小となるような最適連系システムを構築すると共に、系統電力停電時における自立できる電力・熱供給システムも検討する。 この計測によって、水素パイプラインによる純水素型燃料電池の運転状況及び3 電池連動による自立型エネルギーシステムの流れを全面的詳細的に把握し、水素パイプラインによる電池連系システムを評価するための基本データを獲得する。
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次年度の研究費の使用計画 |
現状にある計測ポイントにさらに電気・熱の供給と需要の状況を把握するために電磁流量計(本研究申請設備備品)を追加し、電力量計測とともに、燃料電池、太陽光発電及び蓄電池の電力バランスを、データロガー(本研究申請設備備品)を用いて、計測する。また、水素パイプラインによる水素供給の安全性・効率性を評価するため、リースで計測器を借り、パイプラインの流量、圧力、温度、密度を計測する。この計測は継続的に実施する。研究補助として本学の学生をアルバイトとして採用する。
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