研究課題/領域番号 |
24560724
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
高 偉俊 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (20288004)
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キーワード | 水素 / パイプライン / 住宅 / 分散型電源 / 電池連系システム / 導入効果 / 実証研究 / 燃料電池 |
研究概要 |
本年度では、北九州市の地方政府の協力を得て、住宅のライフスタイルに関するアンケート調査をし、3000 以上の家族が含まれたアンケート調査の結果に基づいて、本研究では4 パターンの住宅のライフスタイルを設定した。それぞれ、①母親が専業主婦でエネルギー浪費型の家庭;②母親が働いていてエネルギー浪費型の家庭;③母親が専業主婦でエネルギー節約型の家庭;④母親が働いていてエネルギー節約型の家庭となっている。研究チームのメンバーは居住者としてエコハウスに24 時間滞在し、決定したライフスタイルを遂行する。通常、瞬間的に最も電力を使うのは電子レンジであるが、電子レンジは1 回の使用時間が短いため積算電力の場合、値は大きくならない。積算電力の場合は洗濯機の値が大きいことが分かった。また、冷蔵庫は常に稼動しているが、洗濯機などに比べると値は小さい。テレビは付けている時間に瞬間的に上がるがそんなに大きい値にはならない。 本年度では、対象住宅に設置した家電の使用電力を設定した生活パターンに合わせて家電ごとの使用電力の変移について考察を行った。その結果、最も多く使われているのは冷蔵庫である。また、洗濯機が瞬時には高い電力を使っている。電子レンジの電力容量が大きいが、使用時間が短いため、積算量では少ない。いずれの場合にも浪費型の電力消費は節約型より、多くのエネルギーを使用している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水素パイプラインによる純水素型燃料電池、太陽光発電を連動して利用する水素燃料電池実証住宅において、計測できるようなシステムの構築が完了している。社会実証実験及び計測が開始しており、本格的な検討を始めている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度では、以下の項目を重点に置きながら、検証を実施していく。 ○ 水素パイプラインによる純水素燃料電池のシミュレータ:実証実験の解析結果から数学的なモデルを構築し、水素パイプラインによる純水素燃料電池の特性を再現できるシミュレータを開発する。 ○ 燃料電池・太陽電池・蓄電池連系システムのマネジメント支援ツール:電池連携システムの診断ツールを開発し、既存システムの管理運営に当ツールを組み込むことで、更なる省エネルギー性を生むことができる。具体的には、電池連携システムの供給能力及びユーザサイトの需要を分析し、デマンドサイド需要に合ったシステムの運用方策を模索する。 ○ 自立型エネルギーシステムの省エネルギー性と環境性評価ツール:水素エネルギーシステムや電池連携システムの導入は多くの環境効果が期待されている。それらの正当な評価は今後水素エネルギーを基礎とする自立型エネルギーシステムの普及に繋がる。本研究開発では自立型エネルギーシステムにおける省エネルギー性及びCO2 削減量の評価システムを構築する。 水素パイプラインによる電池連系システムの実用化と普及のための技術条件、政策、実施プロセスを検討し、ケーススタディを通じて実用化及び普及のための技術開発を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
第二段階の目標「水素パイプラインによる電池連系システムの計測」については、現地エコハウスの継続設置が遅れているため、計測データの分析が少し遅れている。 第二段階計測で得られたデータ及び第三段階で開発した評価手法を用いて、北九州水素タウンの水素燃料電池実証住宅の実証研究を行う。新しい水素エネルギーシステムによる省エネルギーとCO2 の削減効果を評価する。また、評価により、現システムに存在する問題点を指摘し、よりよい効率の水素利用と電池連系システムを目指す。研究補助として本学の学生をアルバイトとして採用する。
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