研究実績の概要 |
平成26年度は、ゴムボール衝撃による床スラブの鉛直振動(体感振動)性能の評価方法の提案を行うための評価量について、H25年度で提案した評価量について、さらに実験的検討を行い、10分程度までの継続時間を有する衝撃振動を対象に人の振動感覚と対応の良い評価尺度の提案を行った。まず、30s程度までの短い衝撃振動実験では、気になる度合や不快度合は積分量に対応するものの、LVE(単発振動暴露レベル)までは感覚的には加算されず、20×(1/4)log(T)<常用対数>を減算した評価量、すなわち、LVeq,h,Th+20×(1/4)log(T)<常用対数>のように、等価振動レベル(振動知覚レベル以上の値を積分し、その範囲の時間で除したエネルギー平均レベル)に時間項を補正することで対応が良いことを示した。一方、10分程度までの場合には、H25年度に提案したように、Th(振動知覚時間)の長さによって、時間補正項の「20×(k)log(T)<常用対数>」のkの値を変化させる方法が良く、H25年度はkの値は不連続であったため、H26年度は連続関数として新たにk2を数式で提案し対応が良いことを示した。 3年間の研究期間で、ゴムボール衝撃を対象に、衝撃振動に対する人の振動感覚に影響を与えるパラメータの抽出を行い、評価方法の提案を行うための評価尺度を提案することができた。また、RC造の床スラブを中心として、測定方法や評価方法に関する検討も行った。本研究の成果は、人の動作等によって生じる体感振動分野に大きく貢献できるものと考えられ、提案した評価尺度が有効に利用されることを望むものである。今後は、振動を感じている居住者を対象に、不快度合等の調査を行っていくことで、評価基準の提案を行いたい。
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