研究課題/領域番号 |
24560726
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 住宅 / 回帰法 / Griffiths法 / グローブ温度 / 温冷感 / 寒暑感 / 快適温度 / 適応モデル |
研究概要 |
2011年3月11日に起きた東日本大震災が露わにしたように住宅や学校・事務所などの多くの建物で暖房や冷房を,化石燃料(や核燃料)にできる限り頼らずに行なうことは,今後ますます重要になると考えられるが,そのためには,熱的快適性の目安(指標)を改めて考え直す必要があり,地域の屋外気候と室内気候とを関係付ける「適応モデル」の重要性が増すと考えられる。日本では建物に必要なエネルギーとそれによる化石燃料使用量の削減を目指し,日本の設定温度は冬に20℃,夏に28℃と推奨されているが,この値には特に科学的な根拠がないと言われている。最近,それを検証するために人工気候室で被験者実験が行われているが,実験室実験と現場研究の結果は異なるため,実際の住宅で人々がどのように適応し快適に感じているかについて,現場研究を行う必要がある。本研究では関東地域の住宅における温熱環境の実測と熱的主観申告調査を行い,快適温度を明らかにし,適応モデルを検討している。 調査は2012年7月から実施している。対象となる住宅数は30戸で,調査人数は52人である。リビングの温度,相対湿度,グローブ温度を10分間隔で測定した。測定機器は日射の当たらない場所に設置し,1日数回,寒暑感申告は7段階尺度を用いて行い,得られた申告数は計3991個である。夏季のデータ分析から下記の結果が得られた。 1.平均寒暑感申告はNVモード(自然換気時)で4.7,ACモード(冷房時)で4.3であり,快適範囲の割合はNVモードで84.2%,ACモードで96.6%である。 2.居住者の快適な室温と快適なグローブ温度はNVモードで27.6℃,ACモードで27.3℃であり,両者の差が小さい。 3.本研究の快適温度を適応モデルと比較すると,NVモードはCEN基準の許容範囲内にある。ACモードはCIBSEガイドより高くなっている。居住者は広範囲に適応している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究のデータ収集,データ入力,データ分析が順調に進んでいる。しかし、年間の無償での申告調査であるため,家庭によって申告数にバラツキがみられる。夏季のデータを分析して日本建築学会関東支部に4編の論文を発表し,日本建築学会大会に5編の論文を投稿している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の実測調査と申告調査は2013年6月までに実施する予定である。調査終了後にデータ入力,データ整理を行う。また,2013年夏季の研究成果をまとめて国際会議(PLEA 2013)に論文投稿しており,2013年の9月に発表する予定である。今後,年間のデータを分析して論文発表を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年度の研究費は申請時の計画通りに使用する。主な内容はパソコンの購入費,調査旅費,学会発表旅費,データ分析の謝金などである。なお,2012年度の残金は専門知識の提供等に伴う謝金に使用する。
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