研究課題/領域番号 |
24560730
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
北原 啓司 弘前大学, 教育学部, 教授 (30177860)
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キーワード | 都市計画 / 震災復興 / 復興まちづくり / 復興支援 / 事前復興 |
研究概要 |
本研究は、平成23年3月11日に発生した東日本大震災からの復興にあたって、申請者が、北上市及びいわて連携復興センターと協議を重ね、諸学会の協力体制の下に設立した広域後方支援拠点「きたかみ震災復興ステーション」の活動をベースに、沿岸地域の復興計画プロセスで発生している諸課題を調査収集・分析し、現実の復興計画に広く還元できるものとして研究成果を拠点内に蓄積し、また大船渡市および大槌町を対象として、仮設住宅団地の環境改善および将来的な転居に必要な支援を目的とした研究活動を継続的に進め、復興プロセスにおける後方支援のあり方を検討し、今後の「事前復興」に向けてその可能性と課題を明らかにするものである。 本年度は昨年度に引き続き、各被災地における復興まちづくりの情報収集および実態分析を目的に、各被災自治体に対する現地調査の1つとして、大船渡市において、復興計画に関わる自治体関係者および復興計画策定委員へのヒアリングを実施するとともに、これまで同様に「きたかみ震災復興ステーション」を会場に各復興支援の現場に出向く研究者やNPO関係者に来ていただき、議論に参加していただいた。また、澤田雅浩氏(長岡造形大)からは、仮設住宅から本設へ向かうシフトのあり方に関して、中越大地震の経験をもとに有意義な知見を得ることができた。 また、仮設住宅団地のマネジメントに関する調査として、北上市沿岸地域被災者支援プロジェクトチームおよびいわて連携復興センターへのヒアリング調査を実施するとともに、継続的に現場に出向くことによって、事前復興につながる有効な知見が得られた。 一方で、宮古市鍬ヶ崎地区で実施されている区画整理地区のまちづくりワークショップの支援を行いながら、復旧から復興に向けた次のステージにおける支援のあり方について実践的に検討をすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
復興まちづくりは、思うように進まない現状であるが、後方支援のあり方を検討する本研究としては、そのような遅れにつながる様々な要因を、本研究によって明らかにすることができ、またその活動から、当初は予定していなかった宮古市における調査研究も実施することができ、おおむね順調に進んでいると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
岩手県久慈市から宮城県山元町までの津波被災地のそれぞれの復興まちづくりのその後の状況について、情報を収集し、計画から実施へのプロセスについて整理、分析する。 ①各被災自治体に対する現地調査:ここでは、単に行政機関だけではなく、復興計画委員長に対するヒアリング調査も実施する予定である。なお、ここには事前復興を見込んで、連携研究者の浅野聡氏(三重大学)にもご参加いただく。 ②後方支援拠点の効果検証:3名の連携研究者および北上市、いわて連携復興センターおよび日本都市計画学会復興まちづくり部会等によって、効果検証のための議論およびヒアリング調査を実施する。 ③仮設住宅居住者の動向調査:大船渡市の仮設住宅居住者のその後の動向に関する調査を、大船渡市を対象に実施し、仮設住宅団地のマネジメント実態等との関係性を探る。
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