前年度に引き続き岩手県・宮城県を中心として、津波被災地のそれぞれの復興まちづくりのその後の進捗状況について、情報を収集し、復興計画から実施へのプロセスについて整理、分析を実施した。 ①各被災自治体に対する現地調査および資料収集:岩手県普代村、大船渡市、宮古市、宮城県石巻市、東松島市等の資料収集およびヒアリングを実施している。そこで明らかになった課題として、復興公営住宅の建設戸数の確保および需要の喚起、また防災集団移転地の区画整理事業の遅れとそれに伴う移転希望者の減少等の実践上の問題が各地で生まれてきており、震災から3年以上が経過して、平時のまちづくりとして考えることができるようになった反面、様々な課題が析出してきていることが明らかになった。また、新たな課題として移転跡地とも言うべき居住禁止区域の将来イメージを立てにくい状況が各地で顕わになってきており、本研究の延長上に、宮古市では市役所跡地利用、大船渡市では居住禁止区域のエリアマネジメント、普代村では小中一貫コミュニティスクールの計画事業に関与することになり、来年度以降も継続的に現地での研究調査をする予定である。 ②後方支援拠点の効果検証:いわて連携復興センターにおいて、後方支援の効果検証のための議論を実施し、阪神・淡路大地震および中越大地震、そして今回の東日本大震災に関わる復興支援関係者を北上市に集める形で、活動の総括を行い、事前復興につながるいくつかの論点を明らかにすることができた。 ③仮設住宅居住者の動向調査:大船渡市における仮設住宅団地居住者の動態データを収集し、仮設マネジメントの実態と復興事業における仮設住宅団地に関する問題を明らかにすることができた。
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