研究課題/領域番号 |
24560733
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
村木 美貴 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00291352)
|
キーワード | 低炭素型市街地 / 交通計画 / 土地利用計画 / コンパクトシティ |
研究概要 |
低炭素型市街地形成のために、英米調査を実施した。特に、英国では地方都市における実際と実態を探るために、広域都市圏における経済発展で人の移動が大きくなると、それに伴う移動に伴う二酸化炭素排出量が大きく増加するため、いかにコンパクトな市街地形成を行うかがカギとなる。都市再生事業が成功していると言われているリバプール都市圏に着目し、中心地での開発と交通機関の連携、コンパクトで活力ある市街地形成の作り方についての検討とヒヤリング調査・現地調査を実施した。中心地域での経済発展は進んでいるものの、かえって通勤人口の移動が大きくなり、交通がパンクしていることも明らかになった。自家用車の移動は駐車料金等で抑えられるものの、公共交通キャパシティを大きくしていくことの課題が明らかになった。さらに、都市圏全体での経済発展のために、周辺市街地でも開発誘導が行われている。現時点ではそのインパクトが決して大きくないものの、将来、開発が終了した時に、さらに人の移動が予測される。開発と交通の連動でいかに低炭素型市街地形成を行っていくか、そこには経済発展の重要性も認識できた。 米国では、オレゴン州ポートランド市におけるコンパクト市街地形成がもたらす効果について明らかにした。歩いて暮らせる住宅地を広く作るために、20分生活圏という徒歩20分以内で最寄・買い回り等の生活利便施設の充実を図る取り組みがなされている。これにより、自家用車の移動が抑えられ、今後の日本の都市づくりに役立つことが確認できた。ただし、利便性が建構えると地価の上昇に転じるため、若年層、低所得者への対応も同時に検討する必要性が確認できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
海外調査を中心に研究を行った。25年度は英国調査がその中心となったが、低炭素型市街地形成は大事であるものの、同時に経済発展の重要性とそれに伴う交通の課題などの複合的な都市課題への対応が確認できた。実学である都市計画のために、現場から明らかになった点が予想以上に大きく、研究に大きく貢献したと考える。 さらに、米国1都市も追加することができ、昨年の蓄積に、自動車依存から脱却した市街地形成づくりの方法が明らかになった。排出量だけではない、都市づくりのあり方への視点を得ることができたことの大きな研究年であった。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度となる26年度は豪州での低炭素型市街地形成についての取り組みを明らかにする。英国型の市街地形成方法を採っていることから、こうした海外での取り組みがいかに日本の市街地形成に役立つかを検討するものである。特に、四季があることから、豪州での取り組みは日本の市街地形成とその規制・誘導方法の検討に非常に役立つものと考えられる。こうした英米豪の取り組みを踏まえて、日本の市街地形成に役立つことをまとめることが今年度の研究方針にある。 今年度はまずは、以下の点について豪州調査を実施する。 (1)エネルギー消費の削減方法 (2)エネルギーの創出 (3)実現化のためのマネジメントの仕組み 豪州調査と前年度までの英米調査を踏まえて、エネルギー自立型都市構築のための仕組みについて明らかにする。
|