研究課題/領域番号 |
24560736
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松村 秀一 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00199853)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 建築ストック / 職能 / 専門家教育 / リノベーション |
研究概要 |
本研究は、空き家や空きビルに代表される日本の余剰建築ストックを有効活用することで、人々のより豊かな生活空間を実現する仕組み、とりわけ専門家に求められる新たな機能に着目する。具体的には、国の内外において実際に行われた建築ストックの有効活用例を主導した専門家を対象とした詳細且つ広範な調査に基づき、建築ストックの有効活用において求められる専門家の機能を抽出・整理するとともに、それに基づいた新たな専門家教育の内容を具体的に提案することを目的とする。平成24年度は主として以下のように研究を進めた。 ①研究の枠組みの設定。ここでは仮説として、新たな専門家の機能を「生活する場から発想する」、「空間資源を発見する」、「空間資源の短所を補い長所を伸ばす」、「空間資源を『場』化する」、「人と場を出会わせる」、「経済活動の中に埋め込む」の6つから成るものとし、下記の調査,整理においては、この仮説としての機能分類を用いた。 ②関連文献・資料の調査による建築ストック有効活用事例の収集、および事例の整理と聞取り調査対象の選定。 ③選定した事例において中心的な役割を果たし特徴的な活動形態を有する専門家を対象とした聞取り調査(約30例)と、建築ストック有効活用事例の現地調査。現地調査においては、長野門前町、岡山問屋街、福岡市、熊本市、宇和島市、京都市、北九州市等において、特に地域の活性化と結び付いた形で展開される建築ストック有効活用を図った事例を対象とした。 ④平成22年度以降、国土交通省長期優良住宅先導的モデル事業(既存住宅改修部門)に採択され、先導的モデル事業を実施した工務店、住宅メーカー、不動産会社等(9社と5団体)を対象とした聞取り調査。ここでは、比較的大規模なリノベーションの需要と供給の特性を把握することを意図した。 ⑤以上の結果に基づく専門家に求められる機能の抽出・整理(次年度以降も継続)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①当初計画していた研究の枠組みの設定については、新たな専門家の機能を「生活する場から発想する」、「空間資源を発見する」、「空間資源の短所を補い長所を伸ばす」、「空間資源を『場』化する」、「人と場を出会わせる」、「経済活動の中に埋め込む」の6つから成るものとし、以降の調査研究に用いることとした。 ②関連文献・資料の調査による建築ストック有効活用事例の収集、および事例の整理と聞取り調査対象の選定については当初計画通り進めた。 ③選定した事例において中心的な役割を果たし特徴的な活動形態を有する専門家を対象とした聞取り調査(約30例)と、建築ストック有効活用事例の現地調査。現地調査においては、長野門前町、岡山問屋街、福岡市、熊本市、宇和島市、京都市、北九州市等において、特に地域の活性化と結び付いた形で展開される建築ストック有効活用を図った事例を対象としたが、これは当初計画以上の事例を扱ったことになる。 ④平成22年度以降、国土交通省長期優良住宅先導的モデル事業(既存住宅改修部門)に採択され、先導的モデル事業を実施した工務店、住宅メーカー、不動産会社等(9社と5団体)を対象とした聞取り調査については、当初計画では来年度以降の調査に含まれたが、これを実施した。 ⑤以上の結果に基づく専門家に求められる機能の抽出・整理についても当初計画通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、24年度に引き続き関連文献・資料の調査による建築ストック有効活用事例の収集を行う。得られた情報の整理作業の謝金を支出予定である。 また、この成果に基づき、新たな事例の分類・整理と聞取り調査対象の選定を行い、選定した事例において中心的な役割を果たした専門家を対象とした聞取り調査を24年度と同様に行う。このため国内旅費の支出を予定している。 更に、24年度に既に着手した地域工務店を対象とした聞取り調査も実施し、所謂「リフォーム」事業において新たに必要となった工務店の機能と、新たに解決が求められた課題を明らかにする。このための国内旅費も支出を予定している。 以上の結果に基づき専門家に求められる機能の抽出・整理を行い、実践的な専門家等と意見交換を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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