研究課題/領域番号 |
24560737
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
今井 公太郎 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (20262123)
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キーワード | 改修 / レトロ・フィット / リファイン / ファサード |
研究概要 |
昨年度、ファサード・レトロフィットの事例を文献等で多数収集し、その手法を詳細に分類作業を行った結果、新旧の対立を計画の目的とする「リファイン」の手法と、新旧の融合を目指す「レトロフィット」の手法の差異性を説明する観点がある程度整理された。本年度は海外事例の中でその観点から高度な方法を適用していると判断されたものに対して、スペイン・マドリッドとイタリア・ヴェネチア、ミラノ近郊で改修事例の現地調査とヒアリングを行った。 スペインでは、各地にパラドールという修道院や古城を改修したホテルが多数あり、これらのデータ収集を行った。また、現代建築においては、スペインとイタリアの歴史的価値がある城壁や古民家の改修と、反対に歴史的価値の薄い工場などの既存建築の改修事例について調査し、それぞれ結果を日本建築学会の梗概に纏めた。また、調査費削減のため、文献調査による事例収集も併せて行っている。 明らかになったのは、スペインとイタリアの改修建築に見られる傾向のひとつで、一つのプロジェクトでありながら、レトロフィットとリファインを同時に使い分ける手法で、既存建築の歴史性の有無と改修の加工の程度によって、使い分けのバランスが左右される。 次年度、この点を指標化し、データベースの設計に活用していきたい。また、国内事例を収集し、海外事例と比較を行い、日本における改修建築の課題の抽出とその解決策を提案したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献を用いた事例収集については、順調に進んでいるが、海外現地調査の事例選定と海外設計事務所との連絡と調査のアポイントに想定以上の時間がかかり、現地調査を行うのがさらに遅れた。現在、調査データの整理と、新しい分析手法の考案、研究成果の出版への手配を急いでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、事例のデータベース化と分析を急ぐ予定で、現地調査を元に見出した改修建築の属性の整理を急ピッチで進める。
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