研究課題/領域番号 |
24560738
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
杉田 早苗 東京工業大学, 社会理工学研究科, 助教 (90313353)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 管理運営 / 公共空間 / 柔軟活用 / 地域組織 |
研究概要 |
本研究では、1.地域組織の維持管理・運営によって公共空間が柔軟に活用されている事例を収集・選定し、その活用の実態把握と類型化すること、2.公共空間の柔軟活用を可能とする条件やクリアすべき課題の把握、3.柔軟活用の類型ごとに条件や課題への対応策を考察し、推進方策として提示することを目的としている。 平成24年度は、第1の目的を達成するべく、地域組織による公共空間の柔軟活用の事例収集を行った。 まず、市民提案型まちづくりファンドによる助成事業を行っている団体に対して、市民活動の事例収集を目的としたアンケート調査を実施した。アンケート調査の対象は、財団法人民間都市開発推進機構(以下、民都機構)が実施している住民参加型まちづくりファンド支援業務において選定された団体とした。この支援業務では、民都機構がまちづくりファンドに資金拠出を行い、ファンドはその資金を利用して、まちづくりに資するハード整備を伴う市民活動に対し公募助成を行うものであり、本研究の対象に適する事例収集が可能になると判断した。調査対象とした団体は87あり、これらの団体に対して、公募助成を行った市民活動に関する情報(助成団体名、活動テーマ、ハード整備した土地の所有、土地の種類、ハード整備の内容、整備したハード施設の管理主体)を収集した。50団体から回答があり、回収率は57%であった。 次に、アンケート調査で情報が得られた市民活動490件の中から、公共空間の柔軟活用として適切だと思われる事例の選定を行った。市民活動の活動主体である地域組織が発行している活動報告書等の資料収集やホームページ閲覧により、各活動に関する追加情報を検討した上で、公共空間の柔軟活用として適切だと思われる30事例を抽出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、平成24年度中に公共空間が柔軟に活用されている事例を収集・選定し、実態把握のためのヒアリング調査を開始する予定であった。しかし、事例収集のために実施するアンケート調査での回収率を上げるため、アンケート調査票の設計を検討し直したことにより、アンケート調査の実施が遅れた。そのため、平成24年度は事例の収集・選定作業までの完了となった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は前年度に選定した事例の活動主体である地域組織を対象に、柔軟活用の実態把握を目的として詳細なヒアリング調査を行う。現時点で想定している調査項目は、1.維持管理・運営を行っている公共空間の現況(敷地の空間構成、活動の対象範囲 等)、2.公共空間で行っている活動内容の詳細(維持管理・運営、イベント開催、講習会開催、調査・研究・提案活動、成果物作成、情報発信 等)、3.具体的な維持管理・運営の行為/対象(新規での物件や施設の整備・設置、既存の物件や施設を維持管理するための清掃活動や植物の世話/施設や一定程度の広さを有するエリア、小規模な物件 等)、4.活動の権限範囲(活動内容の決定権の範囲等)、行政との管理協定の有無等である。以上のヒアリング調査の結果を整理し、公共空間の柔軟活用の実態把握と類型化を行う。 また、柔軟活用を可能とする条件やクリアすべき課題についてもヒアリングを行う。同時に該当する公共空間の管理主体である行政の担当者にも同様の調査を実施し、地域組織・行政双方の立場から柔軟活用に対する考えを把握する。具体的な調査事項としては、柔軟活用を行うことの維持管理面・活動面・費用面等でのメリット、柔軟活用を可能にしている条件・要因、柔軟活用を行う上での法制度的・社会的課題(占有への規制、ルールの不在、公共性・安全性の担保など)を現時点では想定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度はアンケート設計の再検討により研究計画が若干遅れたため、当初想定していたヒアリング調査の実施に至らず、未使用額が発生している。この未使用額も含め平成25年度の研究計画に使用する。 平成25年度は、ヒアリング調査の国内旅費、ヒアリングにおける専門的知識の提供に対する謝金、ヒアリング結果のテープ起こしやとりまとめ作業の補助に対する謝金に使用する予定である。また、公共空間の地域管理や柔軟活用に関する関連図書の購入費、研究成果の学会投稿費、資料作成に使う印刷用紙代等の消耗品費に使用する予定である。
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