研究課題/領域番号 |
24560740
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
野原 卓 横浜国立大学, 都市イノベーション研究院, 准教授 (10361528)
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研究分担者 |
川原 晋 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (10367047)
岡村 祐 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (60535433)
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キーワード | エリアマネジメント / エリアコンバージョン / 住工混在 / リノベーション / シティプロモーション / 準工業地域 |
研究概要 |
本研究は、産業構造変革に伴う都市衰退の進む住工混在市街地において、地域の潜在的資源である産業技術と、新たな都市空間への改編という二つの側面を活かした統合的マネジメントにより、持続可能な複合市街地への再編(エリアコンバージョン)を行うために、(1)アセットマネジメント【土地建物的側面】、(2)エリアプロモーション【地域ブランド的側面】、(3)エリアマネジメント【運営的側面】の3側面から現状を把握しつつ、実証実験によりこれを検証することを目的としている。 1.アセットマネジメント調査としては、昨年度の事例調査の成果も踏まえつつ、また、当該対象地域の空き工場状況を把握しながら、1件の空き工場・事務所空間を用いた改修及びアセット活用の実証実験(くりらぼ多摩川)を実施した(継続中)。 2.産業エリアマネジメント調査としては、昨年度の多くの産業系まちづくりの取組事例などを参考としながら、上記アセット活用実証実験の場所(くりらぼ多摩川)を利用して、モノづくりのまちづくりにおけるエリアマネジメント組織の立上げ及び活動構築に関する実証実験を実施した(継続中)。また、多分野統合型エリアマネジメント事例として、UDCK(柏の葉アーバンデザインセンター)での事例調査及び交流を行い、エリアマネジメント組織体制構築に向けての示唆を得た。 3.エリアプロモーション調査に関して、モノづくりのまちづくりによるエリアプロモーション事例として、燕市・三条市の事例把握及び、都内に広がるモノづくりのまちづくりネットワーク(台東区・墨田区・荒川・葛飾区・世田谷区ほか)を把握するとともに、対象エリアである大田区でのモノづくりのまちづくり型エリアプロモーションの実証実験(おおたオープンファクトリー)も昨年度に引き続き実施し、これに対する参加工場調査等を通して、エリアプロモーション実施における課題点と効果について検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、アセットマネジメント・エリアマネジメント・エリアプロモーション、どの視点においても、主に実証実験の準備及び実施を中心に作業を展開しており、各実証実験の計画及び実施については、順調に進んでいるが、その分、各分野における基礎調査・事例調査等については、やや遅れている。 アセットマネジメントについては、昨年度同様、社会情勢もあり、アジア(上海等)調査は行っていないが、今年度は、国内事例等、異なる形での事例調査実施を検討する。また、対象地域のアセット実態調査についても、昨年度同様、やや情報収集が遅れており、また、関係主体との調整等がつかなかったため、詳細実施には至らなかったが、次年度の実施を計画している。 エリアマネジメント・エリアプロモーションについても、実証実験は順調に行われており、今後これらの検証や分析、あるいは、他事例も含めた比較検討について、今年度、作業を進めてゆく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後については、各視点で得られた情報を基に整理を行い、統合型の地域マネジメント手法構築に向けて検討を進めてゆく。 アセットマネジメントについては、実証実験は進んでいるものの、基礎になる対象地域のアセット実態情報収集が遅れており、これらを早急に展開するとともに、その情報を基に、今後のアセット活用に関するあり方の検討を推進する。 エリアマネジメント及びエリアプロモーションに関しては、これまで得られた事例も含めた情報と継続的な実証実験の結果を活かしながら、組織運営のあり方、及びプロモーション手法を統合的に整理することによって、住工混在市街地における「モノづくりのまちづくり」展開のためのマネジメント・プロモーション手法の構築を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の執行においては、中国を含めた海外のアセットマネジメント調査については、社会情勢も踏まえて実施できなかったこと、あるいは、地域の実態把握調査の進捗がやや遅れていること、及び、当初予定していた、アセットマネジメント等実証実験における空間貸借料等が本補助金からは不要となったため、残額が生じている。 平成26年度は、上記未実施の調査について重点的に推進するとともに、不要となった費用を各未実施調査実施に向けて振り分け、実施する。 特に、進捗が遅れているアセットマネジメント基礎調査に予算を重点的に配分してこれを推進するとともに、社会実験を行う上での人件費及び諸経費に関しては、継続的に使用する。また、これまで行えなかった各事例調査についても、継続的に調査のために予算配分を行う。 さらに、平成26年度は、これら調査の整理・まとめも必要であるため、情報の整理と成果の統合についても予算を使用する予定である。
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