本研究は、コンパクトな都市構造を構築するために、全国地方都市の実態調査から地域拠点の目標像と様々な機能を集約化させる方策を明らかにするものである。 平成27年度は、主に地域拠点の実態と方策に関するデータベースを作成することで我が国の地域拠点の特徴を明らかにしながら、海外先進事例との比較および我が国の地域拠点の今後の課題を整理した。1.平成26年度までのデータベースを分析し、「多核ネットワーク型都市構造に向けた地域拠点の実態と展望」と題して、論文としてまとめた。2.地域拠点の実態データベース作成:昨年度までに作成したデータベースについて項目数を増やし追加調査を行った。これらの追加項目を加え都市機能の集積状況をタイプに分けて整理し、地域拠点を日常生活の利便性の視点からその特徴を分析した。3.地域拠点における集約化方策:本研究の対象となる地域拠点を位置づけている166都市のうち、『公共施設再編計画』を策定している46都市について、公共施設再編に関するデータベースを作成した。さらに、公共施設再編エリアを定めている11都市については、都市計画マスタープランで設定されている地域拠点の受け持つエリアとの整合性を調査し、集約先行事例については、電話による担当課への電話ヒアリング調査により集約化に至る背景と目的および集約化のプロセスについて明らかにした。4.海外先進事例の考察:前年度までに明らかにした海外の先進事例の特徴と我が国の地域拠点の特徴とを比較することにより、都市構造の違い、拠点の圏域と機能の違い、拠点の空間と形態の違いを明らかにし、我が国の地域拠点の目標像と集約化方策のための課題を整理した。
|