研究課題/領域番号 |
24560744
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
浅野 聡 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70231892)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 南海トラフ巨大地震 / 仮設市街地 / 仮設住宅 / 建設候補地 / 防災対策 / 減災対策 / 事前復興 |
研究概要 |
平成24年度の研究成果は、以下の通りである。 第一に研究体制として、研究会を立ち上げるとともに研究推進にあたり志摩市と三重県の協力を得ることが出来る体制づくりを行った。また東日本大震災の被災地の現状調査にあたり、岩手大学三宅諭先生の協力が得られる体制づくりを行った。これらの協力体制を活かして、後述の研究成果を上げることが出来た。 第二に三重県における防災関連情報の最新データとして、防災危機管理部の協力のもとで、三重県地域防災計画、平成16年および平成23年に実施した被害想定のデータを収集して内容の把握に努めた。これらのデータは、仮設市街地の建設候補地選定ガイドラインの内容を検討するにあたり活用している。なお密集市街地の最新データは、平成24年に三重県が三重県密集市街地基本整備方針を廃止したことを踏まえて収集を中止し、研究実施計画を修正して密集市街地に限定せずに津波被害が想定される自治体の行政区全体を対象とするように範囲を拡げることとした。 第三に仮設市街地のマネジメントの技術基準のデータとして、既往ガイドラインである厚生労働省と日本赤十字社による「応急仮設住宅の設置に関するガイドライン」、国土交通省による「応急仮設住宅建設必携(中間とりまとめ)」、三重県による「応急仮設住宅建設の事務処理マニュアル」を収集し、内容の特徴と課題について分析した。また岩手県の被災地の仮設市街地における現状調査を実施し、関連資料の収集や行政担当者へのヒアリング調査を行った。 第四に上述の成果をもとに仮設市街地の技術基準の一部である建設候補地選定のガイドライン案を検討し、志摩市においてケーススタディを実施し、志摩市の現状と課題、ガイドラインの課題と有用性について検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第一に研究体制の構築としては、研究推進にあたり志摩市と三重県、岩手大学三宅諭先生の協力が得られる体制づくりに取り組み、ほぼ予定通りに行うことが出来た。 第二に三重県における防災関連情報の最新データの収集もほぼ予定通りに行うことが出来た。なお密集市街地の最新データは、平成24年に三重県が三重県密集市街地基本整備方針を廃止したために収集を中止し、研究実施計画を修正して津波被害が想定される自治体の行政区全体を対象とするように範囲を拡げることとした。 第三に仮設市街地のマネジメントの技術基準のデータの収集もほぼ予定通りに行うことが出来た。当初は平成25年に実施予定であった岩手県の情報収集と現地調査は、協力体制が構築出来たことから、予定を早めて実施することが出来た。 第四に上述の研究成果を踏まえて、仮設市街地の建設候補地選定のガイドライン案の検討と志摩市におけるケーススタディもほぼ予定通りに行うことが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で対象とする仮設市街地のマネジメントの技術基準は、①規模設定、②候補地区の選定基準、③計画基準、④マネジメント手法から成るが、平成24年には、主に①と②を対象に仮設市街地の建設候補地選定のガイドライン案を検討し、志摩市におけるケーススタディを通じて、ガイドライン案の見直すべき課題と有用性について明らかにした。 平成25年においては、第一に①と②に関する再検討、③と④に関する新たな検討を行う。検討にあたっては、平成24年に収集した既往のガイドラインを参考にする。平成25年には国土交通省中部地方整備局による「広域巨大災害に備えた仮設期の住まいづくりガイドライン」が新たに公表されたために、これも収集するとともに内容を分析して参考にする。また東日本大震災後の新しい情報と知見を得るために、必要に応じて日本都市計画学会や日本建築学会の委員会やシンポジウムに参加して情報収集する。 第二に岩手県の被災地における仮設市街地のマネジメントの技術基準の情報収集と現地調査を実施し、技術基準の実態や課題について明らかにする。 第三に上述の内容を踏まえて、平成24年に実施した志摩市におけるケーススタディの結果を見直すとともに別の自治体(鳥羽市を予定)における新たなケーススタディを実施し、ケーススタディの結果を踏まえて仮設市街地のマネジメントの技術基準案を構築する。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費としては、研究を進めていく上で必要となる消耗品(ファイル・プリンター用トナー・コピー用紙など)を購入する。 旅費としては、岩手県沿岸部の自治体を対象とした現地調査、志摩市と鳥羽市におけるケーススタディのための現地調査の実施にあたり支出する。志摩市と鳥羽市の調査では、研究協力者として同行する大学院生1名の旅費も支出する。また必要に応じて東京で開催される日本都市計画学会や日本建築学会の委員会やシンポジウムにおける情報収集にあたり支出する。 謝金としては、研究協力者として収集したデータの入力や分析を担う大学院生1名と、岩手県における現地調査時に協力を得る岩手大学三宅諭先生に支出する。
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