平成26年度の研究成果は、以下の通りである。 第一に前年度の研究成果を全体的に精査して、「災害廃棄物の発生を考慮した応急仮設住宅の建設候補地選定に関する研究」と題した論文をとりまとめ、日本都市計画学会中部支部研究発表会において発表を行った。 第二に前年度までの研究成果において課題として上げられていた点を踏まえて、既往研究成果である仮設市街地の建設候補地選定のガイドライン案の改良を行った。具体的には、まず発災後に主に必要となる暫定的な土地利用として災害廃棄物以外に救援用地(自衛隊等の野営地)もあることから、救援用地の候補地の選定基準を明らかにした上で、仮設住宅の建設候補地として利用できる可能性の有無について検討を行った。救援用地については、発災後3~4か月程度で自衛隊等が撤収すると考えられることから、その後は仮設住宅の建設地として活用することができる可能性が高いが、救援用地は災害廃棄物の仮置場として利用することも考えられることから、救援用地を仮設住宅の建設地として含む場合と含まない場合の両方を検討することとした。また既往研究では、三重県が平成17年に公表した被害想定を用いていたが、三重県による新しい被害想定が平成26年に公表されたため、これを用いてケーススタディを全面的にやり直すこととした。 第三に上述の成果を踏まえて、暫定的な土地利用を考慮した仮設住宅の建設候補地選定のガイドライン案の改良を検討し、志摩市におけるケーススタディを通じて、志摩市の現状と課題、ガイドラインの有用性と課題について検討を行った。
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