研究課題/領域番号 |
24560747
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
佐藤 亮子 愛媛大学, 地域創成研究センター, 准教授 (50554341)
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研究分担者 |
西山 未真 千葉大学, 園芸学研究科, 講師 (70323392)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情勢交換 / イギリス |
研究概要 |
初年である本年度は、研究会活動を中心とし、「農村型社会的企業」とは何かについての議論から始めた。社会的企業については、これまで何冊も本が出版され、農村や農業に関連した社会的企業の出版物も確かにある。しかしながら、その「社会的企業」の内容はというと、これまで農村・農業の「起業」やコミュニティビジネスとして扱われてきたものを改めて「社会的企業」と言い換えているものが多く、本研究のテーマで対象としている概念と必ずしも合致するとは言えない。では、本研究で扱う農村型社会的企業は、農村・農業分野でこれまで扱われてきた社会的企業(あるいはコミュニティビジネス等)とどのように異なるのか。 研究員それぞれに、既刊の書籍や論文等を調べたうえで、これまでのところ、次のように整理を行った。まず、社会的企業の定義としてよく用いられるのが「『社会貢献』をビジネスにする」という言い方であるが、①「社会貢献」の内容が単に農業や農村社会の利益を対象としていない、②事業所の場所(所在地)は必ずしも農村部に限定されない、③さまざまな法人の形態を含む、④事業体そのものがサステイナブルである。今後さらに文献調査や企業調査を進めていくに従い、この定義を修正していく必要が生じるものと考えている。 また、次年度に計画されている海外調査の訪問受け入れ先を確定できたことも大きな成果であった。申請段階では、社会的企業の国際的先駆者としてイギリスを想定していたが、実際のところ、イギリスにおいて「農村型社会的企業」がどのようにとらえられているのか、具体的に見えていたわけではない。しかしながら今年度の研究の過程において、イギリスでは確かに「rural social enterprise」という概念が社会的に認識されており、それに関連する政策や研究が実施されていることが明らかになった。次年度の調査の重要な足がかりを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度で目標としていた「農村型社会的企業」の仮説的定義を行なうことは達成できた。また、該当すると思われる企業のリストアップも始めている。一方現地調査に関しては、今年度は2か所程度の訪問に留まっており、次年度での実施において努力が必要となっている。しかしながら上記実績でも述べたように、イギリスにおける農村型社会的企業についての研究者の目処をつけることができ、論文も入手して読み進めている。 以上のことより、全体としてはおおむね順調に進行していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
まず5月上旬に第1回研究会を開催し、2年度目の調査計画を立てる。海外調査は授業や大学内の事業の予定ともすり合わせが必要なため、時間の余裕のある時期を見定めて実施するようにする。そのためにも、できるだけ早いうちに計画を立てておきたい。当該年度の予算の過半は海外調査に使用することになると思われる。また場合によっては、イギリス以外(たとえばアメリカなど)の農村型社会的企業の事情も含めて調査することも想定していろ。 後半は国内企業のリストアップの追い込みおよび事例調査を的確かつ迅速に行えるよう、夏期休暇中に第2回目の研究会をもつ予定である。その際、海外調査のふりかえりとまとめも同時に行えるよう準備していきたい。また企業リストアップや事例調査のマンパワーとして、研究員の学生等でこの分野に関心と意欲をもつものがいれば、ぜひ本人の研究のためにも携わらせ、教育的効果も同時に得ることができるよう、検討していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費残額の内88,522円については、平成25年3月購入の物品費として支払予定である。残りの5,319円は当初予算では確保できていなかった消耗品(記録媒体等が追加で必要になると思われるため)の費用として執行を予定している。
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