最終年度を向かえた3年目の研究では、震災から4年目を向かえた被災地の復興まちづくり及び地域コミュニティ再建の展開と課題について参与観察を継続し、以下の研究成果を得た。 (1)被災集落等に設置された復興まちづくり協議会の活動プロセスの調査:被災地では、328の防災集団移転促進事業と59の土地区画整備事業が進行しているが、移転先のコミュニティ再建状況を包括的に確認するとともに、震災後から支援をしてきた東松島市、山元町の復興まちづくり協議会の展開プロセスについて重点的に調査した。その結果、被災者らの手によってかつての暮らし方をできるだけ再現しようとする住民参加による合意形成の進め方が被災者の自立につながる主体性を導き出していくことを確認できた。。 (2)復興まちづくりに関わる人的支援と移転受入地域の役割に関する調査:移転先のコミュニティ再建に生ずる支援ニーズの変化を捉え、復興まちづくり推進員(東松島市、山元町)、復興応援隊(南三陸町、仙台市等)、復興支援員(3県10市町181人導入/平成25年度)等の人的支援の役割や課題を整理し、復興まちづくり協議会をサポートする人的支援の有効性を整理できた。 (3)移転先のコミュニティ再建を支える中間支援組織に関する調査:岩手・宮城・福島の3県に設置されている連携復興センター、市民出資により立ち上がり平成26年9月時点で14億の支援金を地域に届けているコミュニティファンド「地域創造基金さなぶり(平成26年7月に公益財団法人へ移行)」や、東北の地域コミュニティをサポートする一般社団法人東北圏地域づくりコンソーシアム等の中間支援機能や体制等を調査し、組織的に移転先のコミュニティ再建を支援していく体制の組み立て方や理論・手法を整理・分析することができた。
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