本年度は、研究の最終年度として、住まい手と作り手との連携を強めた、地域の住宅地を新築ではなく、総合的な価値向上を含めた改修により、長期的に活性化するための支援体制モデルとして、バリアフリー改修に焦点をあて研究を進めた。 まず、住宅のバリアフリー改修の現状の把握を行い、業種の多様化や福祉用具による住宅改善方法の変化により、バリアフリー改修の広まりと共に変化していることを示した。次に、バリアフリー改修設計のプロセスについてのヒアリング調査から、改修プロセスは7つの段階で構成され、設計者の業務体制の違いにより各段階の主体の業務内容が異なることを明らかにした。さらに、施主の要求内容による設計プロセスへの影響について、改修内容・施主の身体状況・助成制度の利用状況に着目し、設計プロセスの中で考慮するべき点について明らかにした。 結論として、住宅のバリアフリー改修における設計プロセスの実態を、各主体の業務実態と施主の要求の違い、特に今後益々増えるであろう住まい手の高齢化に対応す可能な業態間の結びつきの程度を明らかにした。住まい手の要求も少なく、また高い改修技能も必要としない部分的なリフォームでは、部材を購入し自らの手で工事を行うDIYリフォームが効果的である。しかし、地域内でハードな面での改修技術レベルの高い作り手が必要であり、加えて介護制度などのソフト面での改修技術を有した新たな主体との連携体制が、長期的な住宅利用促進に効果的と考えられる。さらに技術レベルが低くても作り手側の協働によって、極めて総合的な改修が可能となり得ることを示した。
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