研究課題/領域番号 |
24560756
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 八戸工業大学 |
研究代表者 |
石川 宏之 八戸工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50405726)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地域振興 / 減災教育 / 観光振興 / 災害遺構 / ジオパーク / エコミュージアム / エリアマネジメント |
研究概要 |
東日本大震災のような自然災害から被害を軽減し、疲弊した地域経済を回復するには、自然の脅威や災害の歴史を学び体験できる減災教育と観光振興を図る官民協働の体制を整えることが必要である。その試みとして推進協議会で取り組むジオパークが日本各地で展開されている。本研究は、災害復興後の被災地で地域振興のために官民協働の推進協議会により災害遺構等を活かしたエリアマネジメントを行う際の計画上の課題について明らかにすることを目的として進められている。 平成24年度の研究成果の概要を以下に示す。 1. 文献および行政資料を収集し、ジオパークの理念、世界ジオパークネットワークに加盟するためのガイドライン(規模と環境、運営および地域とのかかわり、経済開発、教育、保護・保存、世界ジオパークネットワーク)、世界ジオパーク加盟の申請の仕組みなどを明らかにした。 2. 国内2地域(北海道南西部で活動する洞爺湖有珠山ジオパークと長崎県の島原半島ジオパーク)のジオパークに携わる行政職員、学識経験者、住民団体の代表者に聴き取りを行い、災害復興後の被災地で減災教育や観光振興のために官民協働の推進協議会を通して災害遺構を活かすジオパークの役割、その仕組み、経営方法を明らかにした。 3. 震災後に発足した三陸ジオパーク(青森県八戸市から宮城県気仙沼市までの沿岸16市町村)に携わる行政職員、学識経験者、住民に聴き取りを行い、ジオパークの望ましい組織形態と経営方法のあり方について提案した。具体的には、ジオパーク推進協議会は、幹事会(ジオパーク推進室)・顧問・運営委員会(学術委員会・教育委員会・観光委員会)から構成され、運営委員会で各事業を実施すること。事業費は、各自治体の負担金や省庁の補助金、民間企業の寄付金から支出し、場合によっては、災害復興基金の一部からジオパーク基金を設けることを提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、ジオパークの理念と国内2地域のジオパークの実態を捉え、東日本大震災後に発足した三陸ジオパークの望ましい組織形態と経営方法のあり方を提案した。当初、地域遺産(災害遺構)の保全と減災教育・観光振興に関わる博物館の類型化を行うために、日本ジオパークネットワークに加盟する30地域のジオパークに対して郵送アンケートを行なう計画であったが、昨年に日本ジオパークネットワークがアンケートを実施したので、内容が重複しないように結果が公表された上で、独自のアンケート票を作成し、調査することとした。 以上のことから、本研究はおおむね順調に進展しているものと判断される。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、単独自治体型ジオパークの事例研究として糸魚川ジオパーク (新潟県糸魚川市)などを取り上げ、ジオパーク推進協議会による地滑りや土砂災害に関する減災教育活動の展開と観光振興施策、県と市を調整する仕組み、それら全体を運営する仕組みを捉える。また、広域行政型ジオパークの事例研究として山陰海岸ジオパーク(京都府丹後市、兵庫県豊岡市、鳥取県鳥取市など)などを取り上げ、ジオパーク推進協議会による地震災害に関する減災教育活動の展開と観光振興施策、複数の県にまたがり広域行政で運営するジオパーク推進協議会の各役割、県と市町村間を調整する仕組み、それら全体を運営する仕組みを捉える。その他にも日本ジオパークネットワーク全国大会(隠岐大会)などに参加し、隠岐ジオパークをはじめ、日本各地のジオパークに関する情報を収集する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度も継続して国内のジオパークの現状を把握するために旅費を支出する。また、実地調査などでデータを記録・保存するデジタルカメラやデジタルビデオカメラなどを購入するために、物品費を支出する可能性もある。
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