研究課題/領域番号 |
24560756
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
石川 宏之 静岡大学, イノベーション社会連携推進機構, 准教授 (50405726)
|
キーワード | 災害復興 / 災害遺構 / 地域振興 / 減災教育 / 観光振興 / ジオパーク / 協議会 / エリアマネジメント |
研究概要 |
東日本大震災のような自然災害から被害を軽減し、疲弊した地域経済を回復するには、自然の脅威や災害の歴史を学び体験できる減災教育と新たなコミュニティをベースにした産官学民の連携組織で観光振興を図ることが必要である。その試みとして地方自治体・大学・市民団体・住民・民間企業からなる推進協議会で取り組むジオパークが、日本各地で活動を繰り広げられている。本研究は、災害復興後の被災地で地域振興のために災害遺構等を活かした産官学民協働の推進協議会によりエリアマネジメントを行う際の計画上の課題について明らかにすることを目的として進められている。 平成25年度の研究成果の概要を以下に示す。 1.火山災害の被災体験の伝承や火山資源(災害遺構)を活用した観光振興を図るために、近隣自治体型の島原半島ジオパークと洞爺湖有珠山ジオパークで、災害遺構を保存および観光資源化するプロセス、それを活かすジオパーク推進協議会の形成過程と産官学民の連携体制について明らかにした。そして、復興まちづくりで研究教育機能を用いて地域活性化に取り組む大学と地域社会の連携のあり方を提言した。 2.鹿児島市からなる単独自治体型の桜島・錦江湾ジオパークについて、その推進協議会に関わる行政職員と大学関係者の代表者に聴き取りを行い、鹿児島市の地域課題、ジオパーク推進協議会の経緯、組織構成、経営方法、火山災害に関する減災教育と観光振興の現状を把握した。 3.静岡県東部の15市町からなる広域行政型の伊豆半島ジオパークについて、その推進協議会に関わる行政職員、学識者、住民団体の代表者に聴き取りを行い、伊豆半島の地域課題、ジオパーク推進協議会の経緯、組織構成、経営方法、事業を進める上での課題(事業評価)を把握した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、2つの近隣自治体型ジオパーク推進協議会について、その形成過程と産官学民の連携体制を比較考察し、復興まちづくりで研究教育機能を用いて地域活性化に取り組む大学と地域社会の連携のあり方を提言した。また、単独自治体型と広域行政型のジオパークの現状を捉えた。 以上のことから、本研究はおおむね順調に進展しているものと判断される。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、他に広域行政型ジオパークについて、山陰海岸ジオパーク(鳥取県鳥取市、兵庫県豊岡市、京都府丹後市)などについて、ジオパーク推進協議会による地震災害に関する減災教育活動の展開と観光振興施策、複数の県にまたがり広域行政で運営するジオパーク推進協議会の各役割、県と市町村間を調整する仕組み、それら全体を運営する仕組みの特徴を捉える。 また、単独自治体型ジオパークの伊豆大島ジオパーク (東京都大島町)などでも、ジオパーク推進協議会による土砂災害や噴火災害に関する減災教育活動の展開と観光振興施策、都と町を調整する仕組み、それら全体を運営する仕組みの特徴を捉える。 その他にも日本ジオパークネットワーク全国大会(南アルプス大会)などに参加し、南アルプスジオパークをはじめ、日本各地のジオパークに関する情報を収集する予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
当該年度に研究代表者が本大学に異動したことで、以前と研究環境が変わり、新たに調査研究で使用する物品を購入することとなった。前倒し請求を行ったが、いくつかの物品については、次年度以降に購入することにしたため、次年度使用額が生じた。 次年度も継続して国内のジオパークの現状を把握するために旅費を支出する。また、実地調査などで動画や音声を保存するために、デジタルビデオカメラを操作するリモコン三脚、収集した資料を保存・整理するスキャナー、研究成果物を発表する際に使用するレーザーポインター、配布資料を印刷するカラープリンターのトナーカートリッジなど、物品費を支出する場合もある。
|