研究課題/領域番号 |
24560757
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北工業大学 |
研究代表者 |
石井 敏 東北工業大学, 工学部, 教授 (90337197)
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研究分担者 |
狩野 徹 岩手県立大学, 社会福祉学部, 教授 (00204595)
三浦 研 大阪市立大学, その他の研究科, 准教授 (70311743)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 福祉仮設住宅 / 高齢者 / 障害者 / 東日本大震災 / 介護施設 / 認知症 / 地域 / 平面計画 |
研究概要 |
研究初年度(平成24年度)は、大規模施設が既存建物を活用して、移転・再開した事例を通して、既存建物を大規模な福祉(高齢者)施設として活用する場合の実態や課題を整理して明らかにする調査(調査1)と、小規模な福祉施設が福祉仮設住宅(グループホーム型仮設住宅)に移転・再開した事例を通して、福祉仮設住宅の建築計画的な課題の抽出と計画的知見を整理して明らかにする調査(調査2)を実施した。 調査1では、既存建物を改修し、大規模施設として使用している全国唯一の事例(宮城・仙台)でのヒアリング調査を通して、具体的に改修を行った箇所や既存建物を活用する際の課題について明らかにした。 調査2では、福祉仮設住宅における「建築および設備的な実態と運用にあたっての課題の抽出」と「運営の実態と課題」、さらには「地域住民や地域環境との関係性構築に関わる実態と課題と、そこでの取り組み」の実態の記録と課題の抽出・整理を行った。訪問ヒアリング調査は宮城(1施設)、福島県(1施設)、岩手県(4施設)にて実施した。グループホーム型仮設住宅の空間利用の実態調査を宮城・福島の2施設において、地域住民や地域環境との関係性構築に関わる実態と課題と、そこでの取り組みを把握するための調査を3つの仮設住宅地(岩手・山田、宮城・長町、福島・本宮)を対象に、仮設住宅地の住民に対するアンケート調査により行った。 調査を通して、福祉仮設住宅においては、十分な平面計画の検討が行われずに建てられたため、利用者の生活や介護、運営において必ずしも十分ではない状況や建築的課題が、また福祉仮設住宅の立地計画や立地環境が、そこでのその後の生活や地域住民との関わりにおいて大きな影響を与えている実態を明らかにすることができた。これらの成果は災害時における福祉仮設住宅の計画の重要性とそれに関わる課題を検討するためも重要な基礎データとなる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
特にアンケート調査の実施は未達成となった。この理由は、訪問ヒアリング調査をある程度実施した後、アンケート調査票を作成し、実施することが適切と判断したためである。また、訪問ヒアリング調査も調査計画における事例数に届かなかった。これは研究代表者が年度途中で、学内海外研修制度により長期海外出張に出て調査研究が8ヶ月間中断したことによることが大きな理由である。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の調査計画の遅れを取り戻すべく、調査の立案を図るとともに、速やかに実行に移す。共同研究者との打ち合わせを早期に実施し、初年度計画していたものの未実施だったアンケート調査を実施するとともに、岩手・宮城・福島3県にある福祉仮設住宅への訪問調査を順次進める。 特に訪問ヒアリング調査については、岩手・宮城・福島各県の全施設訪問を目標として計画し、順次調査を進めていく。アンケート調査については、初年度の訪問調査で得られた成果をもとにしながら調査票を作成し、郵送配布する。自治体等への関連ヒアリングは研究分担者とともに適宜進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査実施計画としていたアンケート調査が、調査票の内容作成上、訪問ヒアリング調査を実施後の次年度に回すことが適切と判断したため、未実施となったこと、また研究代表者が8ヶ月間、調査研究課題の遂行を中断したため、予定していた訪問ヒアリング調査が実施できなかったことによる。次年度は、これら前年度計画で未実施だった調査を、平成25年度計画の調査とあわせて実施することで予算を使用してく。
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