研究課題/領域番号 |
24560759
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
筧 淳夫 工学院大学, 公私立大学の部局等, 教授 (30370951)
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研究分担者 |
小山 秀夫 兵庫県立大学, その他の研究科, 教授 (90360693)
武藤 伸明 静岡県立大学, 経営情報学部, 准教授 (40275102)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 災害 / 医療 / 事業継続 / 地域 / マネジメント |
研究概要 |
本研究は、阪神淡路大震災の発生以降、防災・減災への取り組みが進められてきた兵庫県に焦点を絞り、災害時の地域医療の事業継続を多層な主体である行政、各種住民組織、地域の専門職業団体、病院、介護保険施設、居宅介護保険事業者等の公私連携、医療・介護のインテグレーションを軸とした「災害時医療事業継続マネジメント(Healthcare Continuity Management)」の視座より再構築し、必須条件・阻害要因、および各ネットワークの頑強性レベルをシミュレーションにより明らかにすることを目的とするものであり、具体的には、兵庫県内における医療機関の「災害時医療事業継続マネジメント(HCM)」に関連する最新の状況は明らかにするためのデータ構築を行なうものである。 これまでの本研究の実績としては、調査対象医療機関における対外的な面を中心とした防災対策に関して、「災害時医療事業継続マネジメント(HCM)」の認識度、医療分野における「災害時医療事業継続マネジメント(HCM)」の社会的ニーズ、「災害時医療事業継続マネジメント(HCM)」が医療機関にもたらす価値などに関して、防災対策やそれへの意識と「災害時医療事業継続マネジメント(HCM)」の関連性などに関しての論点整理を行い、調査のための項目の検討を行い、さらに調査対象と想定される兵庫県内の医療機関の中から、候補となりうる医療機関の検討および事前の調整作業を行った。また、調査を実施するに際しての調査実施体制の整備を行なうと同時に、調査実施の対応に関しても研究組織として検討を行い準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究においては、下記の点に関する調査作業を行い、一定の進展がなされたと考えられる。 <調査項目の検討>:「事業継続計画(BCP)」の作成の有無のみならず、調査対象医療機関における対外的な面を中心とした防災対策に関して、および「災害時医療事業継続マネジメント(HCM)」の認識度、医療分野における「災害時医療事業継続マネジメント(HCM)」の社会的ニーズ、「災害時医療事業継続マネジメント(HCM)」が医療機関にもたらす価値などに関して、防災対策やそれへの意識と「災害時医療事業継続マネジメント(HCM)」の関連性などに関して、それぞれの主要な論点を明確化し、客観的なデータ構築のための項目設定に関する検討を行った。また本研究の主要な仮説として当初想定された、実際に、一定レベル以上の防災対応が取られている医療機関ほど、外部との関係性を重視し、また「災害時医療事業継続マネジメント(HCM)」に対しても前向きな対応となっているかという点に関しても、他の論点と合わせて再度検討を行った。 <対象医療機関の選定>:本研究においては、兵庫県内の医療機関の中で診療所、有床診療所を除く、医療機関を対象とするものであり、またアンケート調査の実施に先立ち、調査対象として想定される医療機関に対して、事前に本調査への協力に対する調整を実施した。現段階においては、複数の医療機関において、本調査への前向きな形で協力に向けて調整がなされつつあり、次年度の以降のデータ構築に際して、調査対象の体制が整いつつある。 <調査実施体制の構築と準備>:調査実施に際しての、体制を構築するための準備作業として、研究組織内での研究間の役割分担の再検討および、今後のスケジュールに照らしあわせた工程の作成を行い、実際の調査実務に関しての外部組織との調整作業などを実施した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究においては、次年度以降、実際のデータ構築作業および、これらデータの検証作業を実施する予定である。 <データ構築作業> 本研究において、調査協力が見込まれた医療機関に対して、複数の方法により、当該課題に関するデータ構築作業を実施する。調査対象医療機関に対して、本調査における主要な論点に関して、定量的な形でデータを求めると同時に、これらの結果を検討することを通して、「事業継続計画(BCP)」が既に策定している医療機関、外部との関係を加味した防災対策がなされている医療機関、防災対策と「災害時医療事業継続マネジメント(HCM)」に対する意識に強い関連がみられる医療機関のそれぞれから、複数の医療機関に対して、ヒヤリング調査を実施する。また状況に応じて、可能であれば、阪神・淡路大震災に関してCritical Incident Techniqueを用いて調査を行い、震災と現在の防災対策の関係性をより明確化する。さらにこれら構築されたデータに関しては、その分析の方法を複数予定していることから、暫時、可能なものから、構築されたデータの分析および検討を実施することとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度においてはアンケート調査の内容を検討するにとどまったために、具体的なアンケート実施に関わる費用の支出がなかった。次年度の研究においてはヒアリング調査を行うための旅費、及びアンケート調査を行うための印刷費、郵送料などに加えて、それらを実施するための消耗品費を主たる主要経費とする予定である。
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