研究課題/領域番号 |
24560759
|
研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
筧 淳夫 工学院大学, 公私立大学の部局等, 教授 (30370951)
|
研究分担者 |
小山 秀夫 兵庫県立大学, その他の研究科, 教授 (90360693)
武藤 伸明 静岡県立大学, 経営情報学部, 准教授 (40275102)
|
キーワード | 都市計画・建築計画 / 各種建物・地域施設 / 災害対応 / 医療・福祉 |
研究概要 |
本研究は、阪神淡路大震災の発生以降、防災・減災への取り組みが進められてきた兵庫県を中心に、災害時の地域医療の事業継続を多層な主体である行政、各種住民組織、地域の専門職業団体、病院、介護保険施設などに関して、居宅介護保険事業者等の公私連携、医療・介護のインテグレーションなどを軸とした「災害時医療事業継続マネジメント(Healthcare Continuity Management)」の視座より再構築し、必須条件・阻害要因、および各ネットワークの頑強性レベルを明らかにすることを目的とするものである。 そのために、本研究においては具体的な作業として、兵庫県内における医療機関における災害対応に関連するこれかまでの、および最新の状況は明らかにするためのデータ構築を行なうものである。 本研究は、調査対象医療機関における対外的な面を中心とした防災対策に関して、「災害時医療事業継続マネジメント(HCM)」の認識度、医療分野における「災害時医療事業継続マネジメント(HCM)」の社会的ニーズ、「災害時医療事業継続マネジメント(HCM)」が医療機関にもたらす価値などに関して、防災対策やそれへの意識と「災害時医療事業継続マネジメント(HCM)」の関連性などに関しての論点整理、調査のための項目の検討を行い、さらに調査対象と想定される兵庫県内の医療機関の中から、候補となりうる医療機関の検討および事前の調整作業を行う。さらに、調査を実施するに際しての調査実施体制の整備および対応準備を行うと同時に、複数の調査対象機関に対して、試行的な調査を実施し、最終的なデータ構築を行うものである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究においては、当該研究課題に関するデータ構築を行うことを計画している。具体的には、調査対象機関に対して、定性的、定量的な形での調査を実施し、データ構築を行うことを予定している。また本研究においては、その論点の検討を行う過程において、事業継続計画(BCP)策定に関しての興味深い仮説が構築されてきており、たんに論点を明確化するのみならず、こうした仮説の検証を行うためにも当該研究対象における組織内部要因、組織外部要因、および当該調査対象機関の外的関係性(ネットワーク)のそれぞれを明確化することとした。 こうした点に関して、本研究においては、既に試行的な検討をこれまで実施したのであるが、その過程で、いわゆる通常の定量的なデータを中心としたものでは、十分に仮説を検証しきれないばかりでなく、当該研究における論点に関しても明確な形での検討が難しいとの判断から、より適切な形でのデータ構築が必要との結論に至り、データ構築のあり方およびその分析に関する再考を行った。こうした点から、若干の本研究における計画遅延が生じた状況にある。 そこで本研究においては、最終的に、調査対象の焦点をより重点化し、さらにそれらの調査対象におけるより踏込んだ形でのデータ構築を実施することとした。また当初予定していた、データ構築手法である、Critical Incident Techniqueに関しては、その利用を検討すると同時に、他のデータ構築手法に関しても、合わせて検討を行い、より効果的なデータ構築を行うこととした。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究において、残りの研究期間において、調査対象機関に対して、これまでの検討に基づいた形での、データ構築を実施し、さらにこれら構築されたデータの分析を行い、仮説に関する検証を実施する。 データ構築に関しては、調査対象機関をより絞り込んだ形で、本研究課題に関連する当該組織における内的要因、外的要因を収集、整理することに加えて、当該組織と他の組織との関係性に関してのデータに関しても合わせて収集を行う。さらに、具体的なデータ構築手法として、調査対象当該組織の担当者に対してCritical Incident Techniqueを用いてデータ構築を行うのみならず、他の手法を適宜用いることにより、当該研究課題のデータ構築を実施する。 また構築されたデータに関しては、調査対象組織における当該課題に関する内的要因と外的要因の分析を行うと同時に、その分析およびそれを踏まえた検討から、調査対象組織における当該課題に関する論点を明確化すると同時に、調査対象組織における他組織との関係性に関する分析を行うと同時に、その関係性の特質としての信頼性に関しても分析を行い、当該研究課題における仮説に関する検証を行うこととする。なお、これらの関係性に関するデータに関しては、その視覚化を同時に行い、検討を行うこととする。
|
次年度の研究費の使用計画 |
本年度実施した定量的なデータを中心としたデータの構築では十分に仮説を検証しきれず、より適切な形でのデータ構築が必要との観点から、データ構築のあり方及びその分析に関する再考を行ったために、研究の実施がやや遅れ次年度使用額が生じた。 次年度においては、小差対象の焦点をより重点化し、より踏み込んだ形でのデータ構築を再度行うために、繰り越した予算と翌年度分として請求した助成金を合わせて使用する予定である。
|