研究課題/領域番号 |
24560760
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
高橋 儀平 東洋大学, ライフデザイン学部, 教授 (60058162)
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キーワード | 日本 / 中国 / 韓国 / バリアフリー法 / バリアフリー基準 / 標準化 |
研究概要 |
本研究は、日本、中国、韓国における都市環境のバリアフリー基準の標準化に関する研究である。研究の目的は、1.各国がどのようにバリアフリー化の経緯を辿ったか。2.その際に障害者、利用者の参画によって決められたことはあるか。3.現状における各国のバリアフリーの到達点と特徴は何か。4.日本・中国・韓国など東アジア地域におけるバリアフリー基準の標準化の可能性、という点について明らかにすることである。研究方法は、日本におけるバリアフリーの展開をベースに置きながら、各国での文献調査、現地インタビュー調査(建国大学、北方工業大学、北京建築設計研究院、中国建築設計研究院、韓国障害者開発院、障害者NPO団体代表、北京、ソウル市の建築専門家等)、両国での最新施設調査を中心としている。平成25年度は北京調査(平成25年6月)、香港調査(平成25年12月)、北京調査(平成26年1月)、及び年度をまたぐ形でソウル調査(平成25年3月)を実施した。結論として、各国はそれぞれ異なる発展を有しているが、法制度の内容、類似点は多い。障害者(団体)による施設のバリアフリー化への関与は国により強弱の差はあるが、ある程度認められる。特に中国においてその萌芽的要素があったことは興味深い。本研究ではこれらバリアフリーの沿革と到達点についてさらに比較検討を試みる。既存の都市環境、建築物の改善はいずれの国でも困難が多い。中国北京、香港政府では急激な高齢化に対する住宅及び住宅地整備が課題である。日本のバリアフリー基本構想のように面的整備は日本以外に見られない。バリアフリー基準の標準化や整備手法については、日本、中国、韓国各国で過半のルール化は困難ではあるが、道路、鉄道、公共トイレ等で一定の議論が可能と捉えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象地域となる現地調査では、平成25年3月より平成26年1月まで計4回実施できた。一部訪問不可能な政府系機関もあったが、平成24年度までの成果に新たな成果を加えることが出来ている。文献調査等国内での遂行も順調である。平成26年度は最終年度でありしっかりと研究成果を取りまとめたい。
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今後の研究の推進方策 |
中国、韓国についてはバリアフリーの沿革がかなり鮮明になってきた。障害者や研究者等の関わりも概ね把握しており、両国のバリアフリー文献の翻訳も進んでいる。今後は法制度の内容、類似点の再確認を行い、具体的な建築物等でバリアフリー化の差異の確認を行うこととする。この過程では一部専門家を日本に招きディスカッションも計画している。これらから、日本、中国、韓国のバリアフリーの沿革と到達点を取り纏め、バリアフリー基準の標準化の可能性を探ることとする。この部分では、いずれの国においても既存の都市環境、住宅、建築物の改善が課題になるとみられる、また世界遺産等のバリアフリー化(ソフト面の対応含む)もバリアフリー基準の共通化には有益と考えている。さらに日本のバリアフリー基本構想のような面的整備の可能性についても言及していく必要がある。基準の標準化については、国際標準以外の部分でも検討を進めたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度からの繰越金247,245円を25年度交付決定額に追加した。その結果ほぼ計画通り順調に研究が進み助成金を執行したが、若干の残金が生じ平成26年度へ繰り越したい。 繰越金額も1,475円と少額であり、翌年度の計画もほぼ当初通りで計画している。
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